4. 年金だけじゃゆとりがない!60歳代・70歳代世帯の50%以上が「物価上昇」を不安視
ここまで年金受給額のリアルな分布を見てきましたが、実際に年金を受け取っている、あるいは受給開始が目前に迫っている60歳代・70歳代は、年金に対してどのような不安を抱いているのでしょうか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、年金に「ゆとりがない」と感じている60歳代・70歳代世帯のデータを見てみましょう。
データを見ると、二人以上世帯・単身世帯ともに、「物価上昇等により費用が増えていくとみているから」という理由が50%を超え、ダントツのトップとなっています。
年金は原則として支給額が劇的に増えることはないため、「収入は一定なのに、物価高で生活費だけが上がっていく」という状況は、年金生活者にとって最も大きな脅威と言えます。
また、それに次いで「高齢者への医療費用の個人負担が増える(22.3%〜30.0%)」「年金が支給される金額が切り下げられる(13.2%〜21.5%)」といった項目も上位に挙がっています。
社会保険料の負担増や制度変更に対する警戒感も、シニア世代の家計へのゆとりを奪う要因になっていることがわかります。
5. まとめ
公的年金の受給額分布を見ると、厚生年金を受け取る人でも「月10万円未満」の層が全体の約2割を占めているという現実が見えてきます。
平均額という数字だけでは見えてこない個人差の大きさを認識し、自分自身の将来の受給見込み額を早めに把握しておくことが欠かせません。
また、調査データが示すように、シニア世代の多くが「物価上昇」や「医療費の負担増」に対して強い不安を抱いています。公的年金という収入の柱がいくらになるかを確認した後は、こうした「将来の支出増」にも耐えられる家計づくりが必要です。
「年金だけで生活できるのか」という漠然とした不安を解消するためには、まずは「ねんきん定期便」で現状を正しく知ることが第一歩となります。
その上で、長く働くことで収入期間を延ばす、新NISAなどを活用して資産寿命を延ばす、生活費をスリム化するなど、今からできる対策を少しずつ進めていきましょう。
参考資料
マネー編集部年金班
著者
マネー編集部年金班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、地方自治体の公務員や生命保険会社等の金融機関にて勤務経験が豊富な編集者が中心となり、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障制度などをテーマに、丁寧で読者にとってわかりやすい記事の情報発信を行っています。
マネー編集部年金班に所属する編集者は日本生命保険相互会社出身の村岸理美、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか等のファイナンシャルアドバイザー経験者等で構成されており、表彰歴多数の編集者も複数在籍しており、豊富な金融知識をもとにした記事に定評があります。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。(最新更新日:2025年6月8日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。早稲田大学第一文学部史学科卒。学参系編集プロダクションなどで校閲・編集・執筆を経験。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年2月12日更新)