新しい年を迎え、資産形成への意欲が一段と高まっている方も多いかもしれません。筆者はFPとして多くの方の家計相談を受けてきましたが、確定申告がはじまる今の時期は税金面で不安に感じる方も少なくありません。最近では「富裕層への増税」が自分の資産にどう影響するかという不安の声もよく耳にします。

今回は最新の税制改正大綱と国税庁の統計から、ついにメスが入る「1億円の壁」と、日本をけん引する超高額所得者の意外な居住地について詳しく解説します。

1. 「1億円の壁」がついに崩壊?最低税率30%に引上げへ

個人所得課税「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」

個人所得課税「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」

出所:財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」

政府は令和8年度の税制改正大綱で、非常に高い所得を得ている人の税負担を見直す方針を打ち出しました。背景にあるのは、「収入が多い人ほど、実際の税負担が軽くなってしまう」という、これまで指摘されてきた課題です。

特に問題とされてきたのが、株式の売却益や配当などの割合が高い層では、所得が増えても税率があまり上がらない点でした。こうした不公平感を是正するため、今回の政府の改正大綱によれば、負担軽減のための特別控除額についても、現行の3億3000万円から1億6500万円へと引き下げる検討が進んでいます。これにより、これまで課税対象から外れていた所得層も、今後は適正な税負担を求められる可能性が高まっています。

あわせて、この追加課税分に適用される計算上の税率も、現行の22.5%から30%へと引き上げられる方針が示されました。この「30%」という数字は、所得税と住民税を合わせた合計所得全体に対する負担率の「最低ライン」をより高く設定することを意味しています。

1.1 「1億円の壁」とは?なぜ問題になってきたのか

日本の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」が基本です。しかし、財務省の分析では、所得が1億円を超えたあたりから、実際の税負担率が下がっていく傾向が確認されています。これがいわゆる「1億円の壁」です。

理由はシンプルで、高額所得者ほど、給与ではなく株式の売却益や配当などの金融所得が収入の中心になりやすいからです。給与所得には最大45%の税率がかかる一方、株式譲渡益や配当は原則として約20%の分離課税が適用されます。

その結果、「たくさん稼いでいるのに、税率はそれほど高くない」という状況が生まれ、税負担の公平性という観点から長年、見直しが議論されてきました。