今月は年6回ある年金支給月、2月13日に今年最初の支給日を迎えました。「年金」というと、どうしても老後にもらう老齢年金のイメージが強いですが、実は「もしも」の時にご家族の暮らしを支える「遺族年金」という大切な役割もあります。
昨年6月に公表された制度改正により、この遺族厚生年金の仕組みが2028年から大きく変わることをご存じでしょうか。「自分にはあまり関係ないかな」と思う方もいるかもしれませんが、制度の変更点を知っておくことは、将来への備えや安心へとつながります。
そこで今回は、2025年の改正内容に基づいた「遺族厚生年金の見直し」と、2026年度(令和8年度)から適用される最新の年金額について、調査結果をもとに分かりやすく解説します。
1. 【遺族厚生年金】2028年4月1日から新制度《影響ある人・ない人》はどんな人?
2025年6月、年金制度改正の一部として「遺族厚生年金の見直し」が公表されました。今回の変更は、将来新たに受給する方を主な対象としており、すでに遺族厚生年金を受け取っている方には影響しないとされています。
改正後の制度が適用されるのは、原則として2028年4月1日以降に亡くなられた方のご遺族や、施行時点で40歳未満の受給権を持つ方などになる見込みです。なお、制度変更は急激に切り替わるのではなく、数十年単位の経過措置を設けながら段階的に進められる予定です。見直しの大きな目的は、男女間の差を解消し、社会環境や働き方の変化に合わせて制度を整えることにあります。
これまでの制度では、
- 女性は比較的長期間受給できる仕組み
- 男性は受給できない場合が多い
といった男女差がありましたが、今回の見直しではその整理が図られます。
1.1 新制度「注目の変更ポイント」
今回の見直しでは、子どものいない配偶者への遺族厚生年金の仕組みが大きく変わります。
これまで一生涯受給できる場合があった制度を改め、原則として「5年間の有期給付」とする方向です。対象は、一定年齢未満で子どものいない妻と、60歳未満で子どものいない夫です。
ただし、単に期間が短くなるわけではありません。5年間の支給期間中には「有期給付加算」が新設され、モデルケースでは現在の約1.3倍程度に増えるとされています。長期にわたる保障型から、一定期間に手厚く支える「短期集中型」へ転換する点が特徴です。
また、5年経過後に必ず終了するわけではなく、次のような場合には継続支給の対象となります。
- 障害がある場合(障害年金受給者など)
- 所得が一定基準以下の場合(単身で年収約122万円以下が目安)
収入が増えるほど段階的に減額され、おおむね月収20万~30万円を超える水準で支給が終了する仕組みになる予定です。
1.2 新制度《影響ある人》
対象となるのは、子どもがいない若年~中年層の配偶者です。
女性
夫が亡くなった時点で40歳未満の妻。現行制度では30歳未満の場合に5年間の有期給付ですが、これが段階的に40歳未満まで広がる予定です。その結果、新たに対象となる30代女性は年間およそ250人と見込まれています。
男性
妻が亡くなった時点で60歳未満の夫。現在は55歳未満では原則受給できませんが、今後は受給対象になります。対象者は年間約1万6千人と推計されています。
1.3 新制度《影響ない人》
制度改正と聞くと不安を感じる方も多いかもしれませんが、次のような方には変更はありません。
- すでに遺族厚生年金を受給している人
- 配偶者が亡くなった時に60歳以上の人
- 18歳年度末までの子どもがいる人
- 2028年度時点で40歳以上の女性
【ここがポイント】
「40歳以上」という基準は、改正が始まる2028年4月1日時点での年齢を指します。また、施行時に30歳以上40歳未満の女性については、急激な制度変更を避けるため、数十年単位で段階的に給付期間を調整する「経過措置」が設けられる予定です。
特に子育て世帯については給付期間の変更はなく、むしろ遺族基礎年金の子ども加算は増額の方向で検討されています。
