三菱電機ブースでのデモの様子

東京ビックサイトにFA関連メーカーが集結

12月2日~4日、東京ビックサイトではオートメーション関連のトレードショー「システムコントロールフェア2015(以下、SCF)」が開催されました。

「計測展」や「ロボット展」も併設されており、設備投資に関連する多くの企業のブースを見ることができました。全てはご紹介できませんが、印象に残ったのは以下の4社です。

展示に気合いを感じた三菱電機

今回の展示会で、最も存在感があったのは三菱電機(6503)でした。展示ブースもSCFでは3か所(関連会社含む)、ロボット展で1か所と合計4ブースもあり、また、ロボット展での展示スペースは昨年のほぼ倍増となっていました。

SCFのブースでは、人と機械とITがつながるe-F@ctoryの実例が多数展示されていました。ブースの広さや展示デモの多さでは他社を圧倒しており、国内FAシステムのトップメーカーとしての貫録が感じられました。

意外な発見は、ロボット展での展示ブースの広さです。展示員に伺うと昨年よりスペースはほぼ倍増とのことでした。

ファナックや安川電機に比べると、展示されている産業用ロボットはやや小型ですが、垂直多関節形、水平多関節形、物流用など様々な幅広いラインアップの製品が展示されており、三菱電機がロボットメーカーの一角であることに改めて気づかされました。

考えてみれば、三菱電機はロボットの頭脳(PLC、NCなどの制御装置)や手足(サーボモーター)で高いシェアを持っているため、これの集合体であるロボットが同社の得意分野であるのは当然です。

ロボット関連は、設備投資減税の恩恵も期待できるため、今後の動向を注視したいと思います。

事業領域の広さを実感した日立製作所

日立製作所(6501)のブースでは、「現場と経営そして社会をつなぐモノづくりの革新」をテーマに、IoTを活用したソリューション力がアピールされていました。

ブースの大きさは三菱電機よりやや小ぶりでしたが、SCFでは過去最大であるとのことでした。日立本体だけではなく、連結子会社の日立産機システムや日立ハイテクノロジーズ(8036)などとの合同展示で、改めて同社の事業領域の広さが実感されました。

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IT農業が面白かった富士電機

富士電機(6504)は、監視制御システム、計測機器(温度調節計、流量計など)、受配電・制御機器などの展示を行っていました。写真撮影は許されませんでしたが、特に興味深かったのは、北海道で事業化している大規模イチゴ工場のミニチュア版による展示説明でした。

同工場は、北海道の冷涼な気候に加え、富士電機の冷熱技術や環境制御技術を活用することで通年での栽培が可能となり、生産性が大幅にアップするとのことでした。

また、ここで得られた栽培技術や施設運営などの様々な知見を今後外販していく模様ですので、これからの事業展開を注視したいと思います。

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横河電機もIoTに注力

化学プラントなどのプロセスオートメーション(PA)の大手である横河電機(6841)のブースでは、IIoT(インダストリアルIoT)をメインテーマに、統合生産制御システムや差圧計といったセンサーの展示が行われていました。

素材系のプラントでも、現場でアルタイムに発生するデータを収集し、分析・改善を行うことで、適切な経営判断につなげるシステムのニーズが高まっていることが理解できました。

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2016年の設備投資関連銘柄は?

設備投資といえば、日本の7-9月期の実質GDPが前期比▲0.2%減(速報値)から+0.3増%(確報値)に上方修正された最大の要因でした。足元の設備投資は、中国経済減速の影響を受けているものの、人手不足、老朽化などを背景に意外と底堅いようです。

今回の見学でも、様々な現場機器とネットワークがつながる工場、社会へのソリューションに対するニーズは確実に高まっていること、そして「IoT/M2M」や「第4次産業革命」への取り組みも本格化していることが確認できました。

2015年の設備投資関連銘柄の株価パフォーマンスは今一つでしたが、こうした点を考慮すると、2016年は“侮れない”テーマになる可能性があると言えるでしょう。

【2015年12月9日 和泉 美治】

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和泉 美治