DIAMアセットマネジメント株式会社 運用ソリューション本部 クオンツ運用グループ 兼 株式運用本部 上席ポートフォリオマネージャー 砂原昌巳 & 投信企画部 積木利浩
DIAMアセットマネジメント株式会社 運用ソリューション本部 クオンツ運用グループ 兼 株式運用本部 上席ポートフォリオマネージャー 砂原昌巳氏と投信企画部 積木利浩氏に、「たわらノーロード 日経225」[リスクと費用]の運用現場や「たわらノーロード」シリーズのコンセプトについてお伺いしました。
投資家に伝えたい3つのポイント
- 「たわらノーロード」シリーズでは、「たわらノーロード 日経225」を皮切りに国内外の株式、債券、REIT(リート)といった様々な資産クラスのインデックスファンドを新規設定。
- 「たわらノーロード 日経225」は購入及び換金手数料が無料であるノーロードであることに加え、信託報酬はこれまで日経225をベンチマークとするインデックスファンドで業界最低水準(確定拠出年金専用、投資一任口座専用、上場投資信託を除く。2015年11月19日時点)の年率0.195%。
- 「たわらノーロード」シリーズは分かりやすさを重視した指数選定を行い、ノーロードに加え業界最低水準の信託報酬を設定しており、投資初心者はもとよりベテラン投資家にも扱いやすい投信。
なぜDIAMはネット専用日経225インデックスファンドを扱い始めるのか
――日経平均株価に投資をするインデックスファンド「たわらノーロード 日経225」新規設定の発表がありました。既に日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)などをベンチマークとしたインデックスファンドは数多くあります。なぜあえて日経225のインデックスファンドを投入されるのでしょうか。
DIAMアセットマネジメント株式会社 投信企画部 積木利浩(以下、積木):まず始めにお伝えしたいことは、当社は「たわらノーロード」と称しまして、「たわらノーロード 日経225」を皮切りに国内外の株式、債券、REIT(リート)といった様々な資産クラスのインデックスファンドをご提供していきます。今回はその第1弾として個人投資家の皆様に最も身近な投資指標であろう日経225をベンチマークとするインデックスファンドを新規設定することにしました。
――「たわらノーロード」シリーズを設定された狙いについて教えてください。
積木:個人投資家でのインデックス運用のニーズが高まっていることが最大の理由です。業界のインデックスファンドシリーズの残高は約6,000億円にも及んでいます。今後も国内の預金が有価証券を始めとしたリスク資産への投資に向かうようなトレンドが続くと見ています。一方で、NISA制度の拡充の後押しもあり、これまで投資をしたことがない方や投資経験の浅い方も増えてくると思います。したがって、自分にとってなじみのある株価指標や資産クラスに簡単に投資をすることのできるインデックスファンドは、これまで以上に個人投資家にとって欠かせない資産運用の選択肢となっていると考えています。また、インターネットを通じた投資が今後もさらに拡大するとすれば、インターネットを活用した低コストのインデックスファンドはこれまで以上に必要とされるでしょう。こうした背景から「たわらノーロード」シリーズでは、個人投資家にとって不可欠な資産クラスであるインデックスファンドを6種類取り揃え、低コストに徹底的にこだわったインターネット専用投信として設計しました。
――インデックスファンドであれば、運用パフォーマンスは各インデックスに連動するということを前提にすれば、投資家として気になるのはコストになります。「たわらノーロード」の販売手数料や信託報酬はどういった水準なのでしょうか。
積木:「たわらノーロード 日経225」は名前の通り、購入及び換金手数料が無料であるノーロードであることに加え、信託報酬はこれまで日経225をベンチマークとするインデックスファンドで業界最低水準(注)だった年率0.25%をさらに下回る0.195%といたしました。
注:確定拠出年金専用、投資一任口座専用、上場投資信託を除く(2015年11月19日時点)
なぜDIAMは業界最安値の信託報酬でインデックスファンドを提供することができるのか
――なぜ、「たわらノーロード 日経225」では信託報酬を業界最低水準にまで下げることができるのでしょうか。
積木:「たわらノーロード」の販売をインターネット経由に限定することで、販売用資料を作成しないですみますし、目論見書等の印刷費も削減することができます。また、銀行や証券会社の店頭でも販売している投資信託であれば、運用会社から投信の内容を理解していただくために説明する人員を派遣することもありますが、インターネット専用投信とすることでそうした人件費も削減することができます。
――販売面でのコスト削減については理解できました。運用面でのコスト削減についてはいかがでしょうか。
積木:当社は日経225に限らず、「たわらノーロード」で設定した対象資産のマザーファンドを運用しています。当社は年金資金運用を中心に各資産合計で8兆円を超えるインデックス運用を行っています。そうした運用の核となる既存マザーファンドの仕組みを活用しながら、かつスケールメリットを享受しながら運用に関わるコストを削減することができます。
――「たわらノーロード 日経225」の信託報酬は業界最低水準となるわけですが、もし競合他社が日経225インデックスファンドの信託報酬を「たわらノーロード 日経225」の信託報酬の水準よりも引き下げてきた場合には、どのような対応をされるのでしょうか。
積木:それは当社の戦略上重要な内容なのでお話しできませんが(笑)、先ほどお話ししたように巨額な年金資産運用を行っている運用基盤を活用することで「たわらノーロード」シリーズはその運用コストを低く抑えることができており、当社の強みになっていると言えます。また、他社の「たわらノーロード 日経225」の同種ファンドがインターネット専用投信でない場合、その費用構造から簡単に信託報酬を引き下げることはできないのではないでしょうか。
――すみません、ここまで聞きそびれてしまいましたが、なぜ「たわらノーロード」という名称なのでしょうか。
積木:「たわら」は、長い間お米の貯蔵手段として使われてきました。資産をコツコツ蓄えるイメージから富の象徴とされてきました。「ノーロード」は購入時手数料が無料であるという意味です。投資家の皆様の長期的な資産運用のお役に立ちたいという当社の思いを込めて、「たわらノーロード」と名付けました。
インデックスファンド運用の現場とは
――アクティブファンドであれば、ポートフォリオマネージャーが個別銘柄を選別してポートフォリオに組み入れたり外したりということが行われていると思います。インデックスファンドの運用の現場ではどのような作業が行われているのでしょうか。
DIAMアセットマネジメント株式会社 運用ソリューション本部 クオンツ運用グループ 兼 株式運用本部 上席ポートフォリオマネージャー 砂原昌巳(以下、砂原):インデックスファンドの運用に当たっては、各インデックスの将来の変更内容や個別銘柄の資本異動情報を詳細に把握し、状況に応じて必要となる取引を行います。
――インデックスファンド運用で、運用パフォーマンスにおいてポイントになることがあれば教えてください。
砂原:インデックスファンドのベンチマークであるインデックスに関しては注意が必要です。インデックスのパフォーマンスは執行コストが考慮されていません。したがって、インデックスファンドを実際に運用する場合には執行コストをいかに抑制するかが重要となります。そのため各資産やインデックスの特性に応じた運用手法の選択、売買執行方法の選択を行うことで執行コストの抑制を当社では図っています。
――運用者の立場からすると、同じ日本株を代表するインデックスである日経225とTOPIXではどちら簡単で、どちらが難しいというのはあるのでしょうか。
砂原:難易度でいえば、日経225よりもTOPIXの方が難しいといえます。TOPIX構成銘柄数は約1,900社ありますが、日経225はその名の通り225銘柄です。日経225の場合であれば、すべての銘柄を購入してインデックスファンドとして日経225を構成することもできます。また、もしそうしたことができない場合でも、日経225には先物もあり、その流動性も十分ですので対処する選択肢が多いと言えます。一方、TOPIXは原則として東証一部上場全銘柄を対象としており、各企業のコーポレートアクションに応じて指数構成が変動するため、日経225に比べるとはるかに手間がかかるインデックスと言えます。
――日経225インデックスファンドの運用はTOPIXインデックスファンドと比べてよりシンプルであることは理解できたのですが、運用パフォーマンスにおいて違いは出るのでしょうか。
砂原:インデックスファンドのパフォーマンスそのものは、基本的には各インデックスのパフォーマンスに連動します。一方で、インデックスファンドはそもそもインデックスのパフォーマンスにいかに近づけるかを目標とする投信です。ファンドとインデックスのパフォーマンスの乖離をトラッキングエラーと呼ぶのですが、先ほどお話しした理由等から日経225の方が一般的にTOPIXに対して小さくなる傾向があります。トラッキングエラーにこだわる投資家は、日経225のインデックスファンドは検討するに値すると思います。ただし、皆様がよくテレビや新聞で目にする日経225の指数値は配当金を考慮していませんが、インデックスファンドは配当を含んでいます。その差がパフォーマンスの差となるということは、細かい点ですが注意が必要です。
インデックスファンドとETFの違いとは
――「たわらノーロード」シリーズは6本すべてがインデックスファンドなのですが、ETF(指数連動型上場投資信託)と比較すると投資家にとってはどのような使い勝手の差があるのでしょうか。
積木:まず、ETFはそもそも上場していますので、取引日であれば時々刻々と価格が変わります。自分の好きな価格で売買できるのはメリットの1つですが、相場に張り付いて売買できない方にとっては、1日1回算出される基準価額をもとに売買できるインデックスファンドの方が扱いやすいと言えます。
――運用コストの比較についてはいかがでしょうか。
積木:ETFの中には信託報酬の水準が魅力的な商品もあります。ただし、ノーロードの投資信託とは異なり、ETFは売買する際に売買手数料がかかります。また、ETFが外貨建て資産の場合には、円を売却し外貨を購入したり、外貨を売却し円に戻す際にも手数料がかかります。ETFには信託報酬以外にこうした手数料が必要となります。「たわらノーロード」シリーズでは売買の際に信託報酬以外に手数料はかかりません。
――インデックスを日中何度も取引する投資家はETFが向いているし、もう少し投資の時間軸が長い方はインデックスファンドが向いていると言えそうですね。
積木:そうですね。また、ETFと異なる点としては、インデックスファンドは積立をすることができます。この点は、投資家にとっては使い勝手が良い点と言えるのではないでしょうか。インデックスファンドは分散投資が前提ですが、証券会社での投信積立サービスを活用することで時間分散をすることが可能です。
「たわらノーロード」シリーズへの思い―DIAMが個人投資家にできること
――最後に、今回の「たわらノーロード 日経225」を始めとして、「たわらノーロード」シリーズをどのような個人投資家に届けたいとお考えでしょうか。
積木:「たわらノーロード」シリーズは、分かりやすさを重視した指数選定を行っております。ぜひ、投資未経験の方に資産運用の初めての投信としてご活用いただければと思います。また、ノーロード投信ですので、売買を頻繁にされるベテラン投資家の方にも有効にご活用いただけるのではないかと考えています。「たわらノーロード」シリーズは、業界最低水準の信託報酬設計としております。NISAやジュニアNISA等の長期投資が求められる場合にも、信託報酬の低さが大きなパフォーマンスの差となります。NISA制度を活用される際にもご検討いただければと思います。
――本日は長時間ありがとうございました。
砂原・積木:こちらこそありがとうございました。
※本インタビューは、楽天証券株式会社との共同インタビューとなります。