平成の「日本株低迷」は大きな誤解

平成の30年間、日本の株式市場はどう動いたと思いますか? 多くの人は、”日本株は低迷した”、”日本株の回復の鈍さが目立った”、”日本株の出遅れが目立った”といったネガティブな印象を持っていると推察します。

実はこの認識、数字上では正しいように見えますが、大きな誤解とも言えるのです。

平成の30年間における日経平均株価とNYダウを振り返る

「平成」が始まった1989年1月末と直近の価格(4月23日終値)について、日経平均株価と米国のダウ工業株30種平均(通称:NYダウ)を比較してみましょう。

<日経平均株価>

  • 1989年1月末:31,581円→2019年4月23日:22,259円(▲30%下落)
  • 最高値:38,957円、最安値:6,994円

<米国NYダウ>

  • 1989年1月末:2,342ドル→2019年4月22日:26,656ドル(+11.4倍へ上昇)
  • 最高値:26,952ドル、最安値:2,232ドル

改めて、驚くべき大差がついたことが分かります。この結果だけを見ても、日本株の低迷を証明するに十分と言えましょう。これはNYダウとの比較ですが、他の先進国株式(英国、ドイツ等)や中国を除く新興国株式(香港、インド、ブラジル等)でも、概ね似たような結果になります。

実は東証の時価総額はバブル期を上回る過去最高記録!

一方、株式市場の「実力」を表す時価総額では違った結果となります。東証1部の時価総額は、2018年1月に約682兆円を記録し、バブル期(1989年12月の約590兆円)を上回りました。ちなみに、現在の時価総額はピークから約▲12%減少した約600兆円ですが、それでもバブル期を上回っています。

重要なことなのでもう一度言います。

平成の日本株式市場はバブル期を超えて、過去最高の時価総額を記録しました。今現在もバブル期を超える水準にあります。ちなみに、国別の株式時価総額では、米国が断トツの1位ですが、日本は第3位。しかも、第2位の中国とは拮抗しています。日本の株式市場は今も世界有数の規模なのです。

新規上場銘柄が増加したのは東証だけではない、他国市場も同様

この事実に対して、“平成の30年間で、上場企業が大幅に増えたのだから当然だ”という意見があると思います。確かに時価総額増大の大きな一因ですが、他国の株式市場も同じように新規上場が相次いでいます。日本に限ったことではありません。

また、“大阪証券取引所と統合した影響だろう”という見方もあるでしょう。しかし、2013年7月に統合した時点で、大証“単独”上場銘柄のインパクトは極めて限定的でしたから、大きな理由にはなりません。

バブル期を超えた時価総額と過去最高値に遠く及ばない日経平均株価の乖離

それでは、30年前に付けた最高値から大きく下落したままの日経平均株価との違いは何なのでしょうか。平成が終わろうとしている今、一体、日本株は回復したのでしょうか、それとも、低迷したままなのでしょうか?

結論から言うと、「日経平均株価」という株価指数に大きな問題があります。誤解を恐れずに言えば、日本株の実態を的確に表さない欠陥指数なのです。これをNYダウとの違いから見てみましょう。

ダイナミックかつ臨機応変に構成銘柄を入れ替えて上昇し続けるNYダウ