2. 「貯蓄を持っている人」と「貯蓄を持っていない人」は何が違う?
貯蓄額は、人それぞれの環境や価値観によって大きく異なります。
「貯蓄がある=良い」「貯蓄が少ない=悪い」と単純に判断できるものではなく、家族構成や働き方、健康状態、ライフイベントなど、多くの要素が影響しています。
ただ、年代別のデータを見ると、貯蓄の多い層・少ない層の間には大きな格差があり、老後に不安を抱えている世帯が多いのも事実です。
では、「貯蓄を持っている人」と「貯蓄を持っていない人」には、主にどのような違いがあるのでしょうか。
2.1 収入に余裕があるかどうか
貯蓄の有無に大きく影響するのが、そもそもの「可処分所得」に余裕があるかどうかです。
収入が安定している世帯では、毎月の生活費を賄ったうえで貯蓄に回せる余力が生まれやすく、結果として金融資産が蓄積されていきます。
一方、収入が不安定だったり、家計の支出が大きい世帯では、思うように貯蓄に回せないケースが目立ちます。
特に単身世帯や子育て世帯では、突発的な支出が生じやすく、継続的な貯蓄が難しい状況に置かれやすいといえるでしょう。
また、収入の多寡だけでなく「家計をどれだけ把握しているか」も重要です。
同じ収入でも、支出管理ができている人は貯蓄が増えやすく、家計の状況を把握していない場合は無駄な出費が積み重なり、貯蓄の余力が生まれにくくなります。
2.2 資産形成を始めた時期
貯蓄額には、「いつから資産形成を始めたか」という時間軸の違いも大きく影響します。
早い時期から少額でも積み立てを続けてきた人は、複利の効果が働き、30歳代・40歳代でも一定の金融資産を保有しやすくなります。
一方で、30歳代までは教育費や娯楽費が優先され、40歳代になってようやく貯蓄を始めるというケースも珍しくありません。
資産形成のスタートが遅れると、積み上がる時間が短くなるため、同じ積立額でも将来の貯蓄額に差が生まれやすくなります。
このように、貯蓄額は「意志」よりも「時間」に左右される側面が大きく、早期にスタートできたかどうかが、データ上にも表れているといえます。
2.3 金融リテラシーの度合い
貯蓄を大きく伸ばしている人の多くは、預貯金だけでなく「金融資産」を上手に活用しています。
NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用しつつ、コツコツと積み立てることで、家計の余力を効率よく増やしているのが特徴です。
反対に、金融資産を保有していない層では、「投資が怖い」「何から始めればいいかわからない」といった心理的ハードルがあり、資産形成に踏み出せていないケースが見られます。
金利の低い預貯金に偏り続けると、物価上昇局面では実質的な資産価値が目減りしやすく、貯蓄が思うように増えない状況につながりがちです。
金融リテラシーの差は、特別な知識の有無というより、「情報に触れる機会」や「行動できたかどうか」で決まる部分も大きいといえるでしょう。
時間を味方につけながら、少額からでも資産運用を取り入れた人ほど、結果として貯蓄額が積み上がりやすい傾向にあります。
3. まとめ|平均より「自分に合った基準」で考えることが大切
年代別のデータを見ると、おひとりさま世帯では平均値と中央値の差が大きく、実際には金融資産をほとんど持たない人が少なくないことがうかがえます。
特に30〜50歳代では金融資産非保有が3割前後にのぼり、60歳代でも約3人に1人が貯蓄ゼロという状況です。
大切なのは、平均と単純に比べて一喜一憂することではなく、自分の年代・生活スタイルに合った貯蓄ペースを把握することです。
年金支給月の今こそ、現在の貯蓄額を整理し、無理のない貯蓄目標を立ててみましょう。早めに現状を把握しておくことが、将来の安心につながります。
参考資料
加藤 聖人