4. 【東京オートサロン2026レポート】公道とサーキットをつなぐ存在としてのGR GT
GR GTの開発コンセプトは「公道を走るレーシングカー」。モータースポーツで培った技術を市販車に落とし込んでいます。
車両コンセプトの策定段階から、マスタードライバーであるモリゾウを中心に、片岡龍也選手、石浦宏明選手、蒲生尚弥選手、ジェントルマンドライバーの豊田大輔選手、そして社内評価ドライバーとエンジニアがワンチームとなって開発を進めてきたといいます。
トヨタのスポーツカーを振り返ると、映画『007は二度死ぬ』のボンドカーとしても世界的に有名な2000GT、高級ブランドLEXUSから販売したスーパーカーであるLFAといった、時代ごとに象徴的なモデルが存在してきました。
GR GTはそれらの名前を直接受け継ぐものではありませんが、技術的な挑戦を体現する存在という意味では、同じ文脈に位置づけられるモデルと言えるでしょう。
パワートレインには、新開発の4.0リッターV8ツインターボエンジンを採用し、1モーターのハイブリッドシステムを組み合わせ、システム最高出力は650ps以上、最大トルクは850Nm以上を開発目標としています。新開発の8速オートマチックトランスミッションと機械式LSDを組み合わせ、パワーを後輪に伝える構成です。
ハイブリッド化の狙いは単なる高出力化ではなく、低中速域でのトルクの厚みや、アクセル操作に対する自然な反応にあります。FRレイアウトの採用も含め、ドライバーがクルマをコントロールする楽しさを重視している点が特徴です。
ボディにはトヨタ初となるオールアルミニウム骨格を採用し、ボディパネルにはアルミに加えてカーボン素材も用いられています。軽量化と高剛性を両立させつつ、重量配分を最適化することで低重心化を図っています。
サスペンションは前後とも新設計のローマウント・ダブルウィッシュボーン式で、鍛造アルミを使用。ブレーキは前後ともブレンボ製のカーボンディスクを装備しています。公道走行を前提としながら、そのままサーキット走行にも対応できる仕様です。
同時に披露されたGR GT3は、市販車をベースにFIA GT3規格への適合を前提として開発されたレーシングカーです。GT3カテゴリーは参戦台数が多く、速さだけでなく信頼性や扱いやすさも求められます。
GR GTとGR GT3を並べて走らせた今回のデモランは、市販車とレーシングカーを切り離すのではなく、連続したものとして見せたいというモリゾウの考えをそのまま表しているように感じました。
参考資料
鈴木 博之
