私たちの手取り収入に影響を及ぼす社会保険料。なかでも国民健康保険料は負担が大きく、家計のやりくりで頭を悩ませる要因といえます。

私たちは誰もが公的医療保険に加入し、保険料を支払う必要があります。しかし、なかには国民健康保険料を滞納している人もいるようです。保険料の滞納者はどれくらいおり、滞納を続けることでどのようなリスクが生じるのでしょうか。

この記事では、国民健康保険料の滞納について解説します。

1. 国民健康保険料を滞納している人はどれくらいいる?

厚生労働省の「令和5年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況について」によれば、国民健康保険料を滞納している世帯は以下のとおりです。

  • 滞納世帯数:183万世帯(前年比▲7万世帯)
  • 滞納世帯の割合:11.4%(前年比▲0.1%)

約9世帯に1世帯が、国民健康保険料を支払っていません。滞納世帯数・割合ともに前年からは減少していますが、ここ数年は微減・微増を繰り返しています。

国民健康保険の被保険者は、年金受給者や個人事業主など、会社員に比べて収入が少なかったり安定しなかったりする人々です。また、保険料は会社と折半せず全額自分で納める必要があったり、扶養の概念がなかったりと、会社の健康保険とは仕組みが異なります。世帯人数が増えるほど納める保険料が多くなり、人によっては限られた収入のなかで数万円〜10万円台を支払わなければならないケースもあります。

さらに、昨今の物価高により、生活支出が増えています。「保険料を支払うと生活がままならない」といった状況から、滞納が起きていると考えられるでしょう。

次章では、保険料滞納を続けるリスクを解説します。

2. 保険料滞納を続けるとどんなリスクがある?

保険料を滞納し続けると、日常生活に悪影響を及ぼします。主なリスクとしては、以下のようなものがあります。

  • 督促が始まり延滞金が発生する
  • 特別療養費の対象になる
  • 財産が差し押さえられる

2.1 督促が始まり延滞金が発生する

保険料の納付期限を過ぎると、自治体から督促状が届きます。督促状が届いた時点で本来保険料を納めるべき期限を過ぎているため、速やかに納付しましょう。督促状を無視していると、電話や文書、訪問による催告が実施されます。

また、納付期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金額は保険料額や延滞日数などによって決まり、自治体によって異なります。居住する自治体で確認してみましょう。

2.2 特別療養費の対象になる

それでも保険料を滞納し続けていると、特別療養費の対象となります。

特別療養費とは、医療機関窓口での医療費の支払いが一旦10割負担となるものです。後で払い戻しを受けられますが、保険料の納付状況によっては払い戻し費用が滞納分の保険料に充てられる場合もあります。医療機関を受診しにくくなるため、早急に滞納を解消しなければなりません。

なお、これまで交付されていた「資格証明書」については、マイナ保険証の利用登録がない人にのみ交付されるようになりました。医療機関を受診する際は、マイナ保険証または資格証明書を必ず持参しましょう。

2.3 財産が差し押さえられる

特別療養費の対象になってもなお保険料を納めておらず、悪質だと判断された場合は、財産の差し押さえが実行されます。預貯金口座の凍結や年金の差し押さえなどにより、自由に自らの財産を使えなくなってしまいます。

差し押さえは、滞納分の保険料と延滞金が全額納められるまでは解除されません。財産が差し押さえられる前に、保険料の納付を済ませてください。

次章では、2026年4月からのさらなる負担増について解説します。

3. 2026年4月からは「子ども・子育て支援金」が上乗せ

2026年からは、子ども・子育て支援金が公的医療保険料とあわせて徴収されます。金額は月額数百円程度ですが、2027年度、2028年度と段階的に金額が引き上げられる予定です。

国民健康保険に加入する人の子ども・子育て支援金の平均負担額を見てみましょう。

子ども・子育て支援金:試算表2/3

子ども・子育て支援金:試算表

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度の概要について」

  • 2026年:250円
  • 2027年:300円
  • 2028年:400円

平均負担額は200円台〜400円台ですが、実際には収入に応じて負担額が変わります。所得が少ない人は負担額が軽減され、所得の多い人ほど多くの金額を納める仕組みです。

「現在の保険料すら支払えない」という人にとって、支援金の徴収は決して軽い負担とはいえないでしょう。もし国民健康保険料が支払えない場合はどうしたらよいのでしょうか。次章で解説します。

4. 払えない場合はどうすればよい?

国民健康保険料が支払えない場合は、基本的に自治体へ相談して納付計画を立て、地道に納付をしていくことが求められます。分割納付や支払猶予の相談をすることで、保険料を納める意思を示すことが重要です。滞納していても納付計画どおりに保険料が支払われていれば、突然財産が差し押さえられる可能性も低いでしょう。

なお、所得税または住民税の申告をしており、所得が一定額以下の場合は、自動で保険料の軽減措置が適用されます。所得金額によって、2割減・5割減・7割減のいずれかの措置が受けられます。

保険料均等割の減額制度3/3

保険料均等割の減額制度

出所:港区「国民健康保険の保険料」

  • 7割減額:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円以下
  • 5割減額:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+30万5000円×被保険者数以下
  • 2割減額:43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+56万円×被保険者数以下

このほか、災害や失業といった理由でも、保険料の軽減を受けられる場合があります。軽減を受けてもなお支払いが苦しい場合は、すぐに自治体に相談しましょう。

5. まとめ

国民健康保険料は、9世帯に1世帯が滞納している状況です。近年は物価高による生活支出の増加もあり、今後滞納者がさらに増える可能性もあります。また、4月からは子ども・子育て支援金の徴収が始まるため、徴収金額も若干増える見込みです。

保険料の滞納を放置すると、財産差し押さえの可能性があります。早い段階で自治体に相談して計画的に納付するなど、生活が破綻しないように支払いを進めていく必要があるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ