12月8日に年初来高値を更新
カシオ計算機(6952)の株価が好調です。12月8日に年初来高値を更新、年初来の上昇率は50%超に達しTOPIXを大幅にアウトパフォームしました。
また、約4年前の2012年の年初比では約5.5倍に上昇しています。業績も好調で、今年度の営業利益は4期連続の増益、9期ぶりの最高益更新が見込まれます。
好調の背景は?
2015年の電機株は、中国や新興国市場の減速の影響を受けるなどして今一つ冴えませんでした。こうした中で、カシオ計算機の好調が際立ちますが、最大の要因は主力である時計事業の採算性改善と見られます。
足元の時計事業の営業利益率は20%を超えており、会社側では、2018年3月期にはこれを25%に高め、全社の7割弱を時計事業で稼ぎ出す計画を発表しています。
採算性改善のポイントは、低価格のカシオブランド(いわゆるチープカシオ)に比べて利益率が大幅に高いアナログ表示のハイエンドモデル「G-SHOCK」、「BABY-G」、「OCEANUS」、「PRO TREK」、「EDIFICE」、「SHEED」の「6ブランド製品」の売上構成比の上昇です。
「6ブランド」の時計事業における売上構成比は2015年3月期で約70%強に達していますが、今後も着実な上昇が見込まれ、これが採算性の改善に結びつくことが期待されます。
デジタルからアナログへ
カシオ計算機の時計事業の歴史は、約40年前にデジタル表示タイプからスタートしています。アナログ表示への参入は約10年前からですが、耐衝撃性に優れたG-SHOCKや、GPSや電波による時間補正機能などの製品面での差別化が際立っています。
それに加え、5年ほど前から取り組んでいるミュージシャンやスポーツ選手を「アンバサダー」として活用するなどのユニークなマーケティング戦略が奏功しています。
来年1月のCESは要注目の重要イベント
アナログ表示タイプの時計で大成功をおさめてきたカシオ計算機が次に取り組むのがスマートウォッチ、あるいはリストデバイスといわれる新分野です。
1月に米ラスベガスで開催される世界最大の民生エレクトロニクス機器の展示会であるCES(Consumer Electronics Show)で新製品を発表する予定ですが、これに対する期待も株価にはかなり織り込まれていると考えられます。
発表される新製品が、カシオ計算機の業績をさらに拡大させるものとなるのか? あるいは、材料出尽くしとなるのか? いずれにせよ、目が離せないイベントとなりそうです。
※本記事は個人投資家向け経済金融メディアLongine(ロンジン)の記事をダイジェスト版として投信1編集部が編集し直したものです。
【2015年12月11日 投信1編集部】
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LIMO編集部