2026年から、いよいよ年金を受け取り始める人もいるでしょう。年金は給与よりも金額が少なくなるため、家計管理がより重要になります。また、差し引かれるお金もこれまで以上に負担が重く感じられるため、注意が必要です。

とくに、介護保険料は65歳から算定基準が変わり、負担が増える傾向にあります。年金生活において、介護保険料は月にどれくらい負担することになるのでしょうか。

この記事では、年金生活での介護保険料の負担額について解説します。

1. 65歳以上の介護保険料の全国平均はいくら?

現在の65歳以上の介護保険料の全国平均は、6225円です。介護保険料は、3年ごとに見直しが行われています。現在の金額は2024年度から2026年度までのものです。

介護保険制度がスタートした2000年からの保険料推移を見てみると、保険料は確実に上昇を続けていることがわかります。

  • 第1期(2000年〜2002年):2911円
  • 第2期(2003年〜2005年):3293円
  • 第3期(2006年〜2008年):4090円
  • 第4期(2009年〜2011年):4160円
  • 第5期(2012年〜2014年):4972円
  • 第6期(2015年〜2017年):5514円
  • 第7期(2018年〜2020年):5869円
  • 第8期(2021年〜2023年):6014円
  • 第9期(2024年〜2026年):6225円

現在の平均額は、制度開始当初の金額から2倍以上増えています。今後も、高齢化が進むことで保険料は上昇を続けそうです。

次章では、介護保険料の地域格差について解説します。

2. 介護保険料には地域によって「格差」がある

介護保険料は自治体ごとに金額が異なり、居住する地域によって負担額に差があります。自治体ごとに介護サービスを利用する人数が異なるため、一律で金額が定められているわけではないのです。

保険料の高い自治体と低い自治体を見てみましょう。

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介護保険料の高い自治体と低い自治体

出所:厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」

2.1 保険料が高い自治体

  • 大阪府大阪市:9249円
  • 大阪府守口市:8970円
  • 大阪府門真市:8749円
  • 岩手県西和賀町:8100円
  • 青森県七戸町:7900円
  • 東京都檜原村:7900円
  • 大阪府松原市:7900円
  • 青森県東北町:7880円
  • 青森県東通村など:7800円
  • 青森県六ヶ所村など:7700円

2.2 保険料が低い自治体

  • 東京都小笠原村:3374円
  • 北海道音威子府村:3600円
  • 群馬県草津町:3600円
  • 宮城県大河原町:4000円
  • 北海道根室市:4300円
  • 北海道深川市:4300円
  • 北海道登別市:4300円
  • 埼玉県鳩山町:4300円
  • 千葉県栄町:4300円
  • 北海道広尾町:4400円

高い自治体は大阪府や青森県の自治体がほとんどを占めています。大阪府、青森県は、都道府県の平均保険料額においても47都道府県のなかで上位に位置しており、全体的に保険料が高い傾向にある地域です。介護サービスの利用人数のほか、地域の所得水準の低さも理由のひとつと考えられます。

一方、低い自治体の保険料は3000円台や4000円台前半となっています。こうした自治体は、健康寿命を延ばす施策に強みがあるなど、介護サービスを受ける人が少ない可能性が考えられます。

次章では、実際に負担する介護保険料を計算してみましょう。

3. 【シミュレーション】年金受給者の介護保険料を計算

介護保険料は、自治体が定めた基準額に、所定の割合を掛けて算出します。基準額は収入や所得によって区分され、所得が高い人ほど保険料も高くなります。たとえば、東京都新宿区の基準額は6600円です。この金額に所定の割合を掛けて保険料を算出しています。

年金受給者の収入は、人によって異なります。新宿区の基準を例として、いくつかの収入パターン別に介護保険料を算出してみましょう。

3.1 年金収入80万円(単身)の場合

年金収入が少なく、住民税が非課税になるような世帯では、保険料の負担が軽減され、最低限の負担で済む可能性が高いでしょう。基準額の割合と保険料は以下のとおりです。

介護保険料はどれくらい?(年金収入80万円の単身者)3/7

介護保険料はどれくらい?(年金収入80万円の単身者)

出所:新宿区「介護保険料の決まり方」をもとに筆者作成

  • 基準額に対する割合:0.25倍
  • 保険料(月額):6600円×0.25=1650円

年金収入が80万円付近の場合、保険料は最低額になるケースが多いです。新宿区の場合は月額1650円となっており、年間でも1万9800円と、2万円を下回る金額となっています。負担する保険料が少ない分、生活支出に年金収入を充てやすくなります。

3.2 年金収入200万円(単身)の場合

年金収入が200万円になると、保険料がやや上昇します。具体的には、以下のとおりです。

介護保険料はどれくらい?(年金収入200万円の単身者)4/7

介護保険料はどれくらい?(年金収入200万円の単身者)

出所:新宿区「介護保険料の決まり方」をもとに筆者作成

  • 基準額に対する割合:0.65倍
  • 保険料(月額):6600円×0.65=4290円

年金収入が200万円ほどになると、住民税が課税されます。そのため、所得金額によって保険料段階が決まります。

年金収入には、公的年金等控除が適用されます。65歳以上で年金収入200万円の場合、控除額は110万円です。よって、所得は90万円になります。

所得90万円の人の基準額に対する割合は、1.1倍です。そのため、保険料額は月額7260円となります。課税世帯になると、負担する保険料が上昇するため、住民税がギリギリ課税される水準の年金収入がある人は注意しなければなりません。

3.3 年金収入400万円(単身)の場合

年金収入400万円のように、現役並みの収入がある人は、保険料の負担がさらに増えます。前述の公的年金等控除を適用すると、年金収入400万円の人の所得は272万5000円となります。よって、保険料は以下のとおりです。

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介護保険料はどれくらい?(年金収入400万円の単身者)

出所:新宿区「介護保険料の決まり方」をもとに筆者作成

  • 基準額に対する割合:1.4倍
  • 保険料(月額):6600円×1.4=9240円

この場合は、月額1万円近い保険料を納めることになります。年金以外に定期的な収入がある場合や、生命保険の満期保険金、不動産の売却益などの収入を受け取った翌年は、1万円以上の保険料を負担する可能性もあるでしょう。

このように、同じ自治体に住んでいても、支払う保険料は収入や所得に応じて差が見られます。とくに、収入が多い人は、その分負担する保険料も多くなります。日々のお金の使い方によっては家計に影響を及ぼす可能性があるため、今一度支出の見直しが求められるでしょう。

次章では、介護保険料以外にシニア世代が負担するお金を解説します。

4. 年金からは介護保険料以外も差し引かれる

年金からは、介護保険料以外にも税金や社会保険料が差し引かれます。主なものは以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料

そして、忘れてはならないのが2026年4月から徴収開始となる「子ども・子育て支援金」です。子ども・子育て支援金は、公的医療保険料に上乗せする形で徴収され、児童手当の拡充や出生後休業支援給付金の実施など、さまざまな子育て施策の財源として利用されます。

年金受給者の場合、2026年4月からの徴収額は月額200〜250円程度です。しかし、2027年度、2028年度と次第に増額していく見込みで、2028年度の負担額は国民健康保険の被保険者が月額400円、後期高齢者医療保険の被保険者が月額350円となっています。

2026年度~子ども子育て支援金の平均支援金額7/7

2026年度~子ども子育て支援金の平均支援金額

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度の概要について」

2026年4月からは、税金や社会保険料に加えて子ども・子育て支援金も徴収されるため、手取り年金額はなかなか増えにくくなります。子ども・子育て支援金の負担額は税金や社会保険料に比べれば少ないうえ、年金額は物価や賃金の状況に応じて毎年改定されています。しかし、賃上げほど伸び率が高くない年金において、さらなる負担増加は家計にも影響を及ぼす可能性が高いでしょう。

5. まとめ

65歳になっても、介護保険料は納め続ける必要があります。年金収入や所得に応じて金額は変わりますが、収入が多いと月額1万円ほどを負担しなければなりません。所得が少なくても、最低限の保険料は納めなければならず、家計への影響は必至です。

2026年4月からは、子ども・子育て支援金の徴収が始まります。こちらは月額数百円程度ですが、負担は徐々に増えていく予定です。今のうちに家計を見直し、お金の流れがどのようになっているか、無駄な支出がないかを確かめておきましょう。

参考資料

石上 ユウキ