世界の株式市場が総崩れになった1週間

先週(2015年12月7日‐12月11日)の世界の主要株式市場は、欧米市場を中心に大幅に下落した週でした。

市場は原油価格の下落、人民元安、米国における低格付け債投資を行う投資信託の清算入りなどを悪材料として捉えました。

原油価格の下落は、生産調整の合意形成が進まないことだけでなく、世界的な需要の後退を映しているようです。中国の景気指標にはやや持ち直しの兆しが見えていますが、市場は人民元安を原油安に重ねて中国経済への警戒感を読み取っているのでしょう。

原油価格の下落など資源価格が弱いため、資源関連株の下落に目が向きがちですが、非資源関連株、つまりテクノロジーや消費財、金融など幅広い業種の銘柄が下げているのが実情です。

こうしたリスクオフの動きは債券買いにつながりました。米国10年国債の利回りは昨年末を下回る水準まで低下しています。また、ドルが対円、対ユーロで下落しています。

なお、日本では7‐9月期GDP改定値が速報値を大きく上回るなど明るい材料が出ましたが、日本の株式市場も世界的なリスクオフの影響を受けました。TOPIXの下落率は欧米株より小さく見えますが、東京市場が閉まった金曜日の夜以降、米国株の大幅安を受けて、日経平均先物も大幅に下げています。

先週の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

日米の金融政策が決まる重要な1週間へ

今週(12月14日‐12月18日)は、改めて日米の金融政策の方向性が問われる1週間になるでしょう。

最大の注目は、15日‐16日に行われる米国の連邦公開市場委員会(FOMC)です。利上げが行われる可能性が高いと思われますが、見るべきはその後の金融政策の道筋です。仮に次の利上げが遠のくならば、ドルがさらに売られる可能性があります。

日本では14日に日銀短観、17日、18日に日銀金融政策決定会合があります。欧州の景気指標もいくつか発表されます。欧州の金融緩和余地を占う意味であわせて注目です。

先週の材料で触れた米国の低格付け債の投信の清算は、リーマンショックの始まりのころを想起させ、投資家にとって気になるニュースです。各国の中央銀行がリスクオフの動きをさらに助長しないような政策姿勢を示せるのか試される週になるでしょう。

LIMO編集部