2026年がはじまり、確定申告の時期が近づいてきました。今年の申告を前に、富裕層をめぐる税制と、最新の統計から見える日本の「億り人」たちの実態を解説します。
1. 「1億円の壁」がついに崩壊?最低税率30%に引上げ
政府の令和8年度税制改正大綱において、個人所得課税の「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」が盛り込まれました。
これまで日本の所得税では所得金額が極めて高い層において、所得に占める株式譲渡益などの割合が高くなることで実質的な税負担率が下がる、いわゆる「1億円の壁」が是正すべき課題とされてきました。
今回の改正では、税負担の公平性を確保する観点から、追加の税負担を計算する基礎となる「特別控除額」を現行の3億3000万円から1億6500万円に引き下げます。あわせて、適用される税率も現行の22.5%から30%へと引き上げられることになりました。
昨今の株高などで高い水準の所得を得ている層にとっては、負担適正化に向けた本格的な課税強化が実施されることになります。
2. 最新統計で判明!日本に「億り人」は何人いるのか
では、現在日本には所得1億円を超える「億り人」はどれくらいいるのでしょうか。国税庁の最新データ(令和6年分)によると、確定申告者約2336万人のうち、所得1000万円超の層は約188万人(全体の8.0%)でした。
さらに「年間所得1億円以上」に絞ると、合計で3万7988人にのぼります。
- 1億円超〜2億円以下:2万4830人
- 2億円超〜5億円以下:9444人
- 5億円超〜10億円以下:2232人
- 10億円超〜100億円以下:1427人
- 100億円超:67人
年間で100億円以上を稼ぎ出す「スーパー億り人」が、日本にも67名存在している事実は驚きです。
3. 圧倒的「東京」一極集中!愛知県は「スーパー億り人」が多い?
億り人たちが住む地域には、極端な偏りが見られます。所得1億円超の居住地ランキングを算出すると、東京の独走状態が鮮明になりました。
- 東京都:約1万5397人(全国の約4割)
- 神奈川県:約3386人
- 大阪府:約2513人
- 愛知県:約2326人
特に注目すべきは、100億円超の超高所得者、いわゆる「スーパー億り人」の人数です。東京が33名と半数を占めるのは予想通りですが、愛知県は9名と、大阪(5名)や神奈川(5名)を抑えて全国2位となっています。 製造業などのオーナー経営者が多い地域の特性が反映されているのかもしれません。
4. まとめにかえて
今回の分析では、最新の調査結果をもとに、日本における富裕層の分布と税制をめぐる変化について整理しました。
税制環境が変化するなかでは、収入を増やすことだけでなく、制度を正しく理解したうえでの資産運用や税負担への備えが重要になります。富裕層の分布を客観的なデータで把握することは、自身の資産状況を冷静に位置づける手がかりにもなるでしょう。
確定申告の時期を前に、改めて資産の持ち方やお金との向き合い方を見直し、長期的な視点での資産形成を考える一年としたいところです。
参考資料
村岸 理美