4. 老後資金の計画は「一度立てて終わり」ではない

老後資金の計画は、一度立てたらそのまま固定してよいものではありません。なぜなら、老後を取り巻く前提条件は、時間の経過とともに少しずつ変わっていくからです。

たとえば、年金制度や医療・介護制度は数年ごとに見直しが行われています。実際、自己負担割合や保険料、給付の仕組みは、これまでも改正が重ねられてきました。将来も同じ条件が続くと考えるのは現実的とは言えません。

また、物価の動きも無視できない要素です。総務省が発表している消費者物価指数(CPI)によれば、近年は食料品や光熱費を中心に上昇が続いており、同じ生活水準を維持するために必要なお金は、過去の想定より増える可能性があります。

4.1 消費者物価指数CPI:2025年(令和7年)12月分

消費者物価指数CPI:2025年(令和7年)12月分

2026年1月発表の消費者物価指数CPI

出所:総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)12月分」

  • 総合指数は2020年を100として113.0…前年同月比は2.1%の上昇
  • 生鮮食品を除く総合指数は112.2…前年同月比は2.4%の上昇
  • 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は111.5…前年同月比は2.9%の上昇

数字上は問題なく見えていた家計が、物価上昇によって徐々に圧迫されるケースも考えられます。

さらに、家族構成や健康状態の変化も、老後の支出に影響します。配偶者の状況や住まいの選択、医療・介護の必要性などは、事前に正確に予測することが難しいものです。

こうした不確実性を踏まえると、老後資金は「完璧な計画を一度作る」ことよりも、「状況に応じて見直しながら調整していく」姿勢が重要になります。

次の段落で紹介するシミュレーションツールも、そのための一つの手段として位置づけるとよいでしょう。