6. みんなの家計「資産と負債のバランス」意識したことある?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」からは、働く世帯が抱える「意識の死角」と「日々の苦境」が浮き彫りになっています。

6.1 全世代で半数以上が「資産と負債のバランス」を意識していない実態

まず、家計の健全性を測るバロメーターである「資産と負債のバランス(家計の全体像)」について見てみましょう。

20歳代をのぞく全ての世代で、半数以上の世帯がこのバランスを「意識したことがない」と回答しています。

【世代別】資産と負債のバランスを「意識したことがない」人の割合

  • 20歳代:46.2%
  • 30歳代:50.9%
  • 40歳代:54.5%
  • 50歳代:61.1%
  • 60歳代:70.0%

特に、住宅ローンの返済が進み、老後資金の確保が現実味を帯びるはずの60歳代において、7割の世帯が資産バランスを意識していないという実態があります。家計の「全体像」は、多くの世帯にとって意識の死角となっているようです。

6.2 40歳代をピークに高まる「日々の家計運営」への負担感

中長期的な資産バランスへの意識が低いのとは対照的に、日々の「家計運営(やりくり)」については、多くの世帯が切実な実感を抱いています。

特に働き盛り・子育て世代では、物価高などの影響もあり、「思ったより家計運営が苦しかった」と回答する割合が高い傾向にあります。

【世代別】「思ったより家計運営は苦しかった」と感じる割合

  • 20歳代:24.0%
  • 30歳代:31.8%
  • 40歳代:36.3%
  • 50歳代:33.6%
  • 60歳代:33.9%

データを確認すると、家計の苦しさを実感する世帯は40歳代でピークを迎え、その後も各世代で3割を超える高い水準が続いています。

40歳代は、前述の「家計調査」でも見た通り、住宅ローンの返済に加えて教育費などの重い支出が重なる時期。

客観的な統計が示す「負債額の多さ」と、今回の意識調査が示す「主観的な苦しさ」の結果は、ともに40歳代で最大化するという点で一致しています。

資産と負債のバランスといった「大局」を俯瞰する余裕がないほど、目の前の家計管理に追われているのが現役世代のリアルな実感と言えそうです。

7. まとめにかえて

今回のデータから、40歳代までは住宅ローンなどの負債が重く、50歳代以降にようやく資産が上向くという、現役世代の厳しいやりくり事情が見えてきました。

この負債の正体のほとんどは、将来の資産にもなり得る住宅ローンですが、それでも月々の返済が家計運営を圧迫しているリアルな実感は無視できないでしょう。

「いつかは自分の資産になる」という遠い将来への期待よりも、毎月の家計管理における負担感の方が、現役世代にとっては切実な問題となっている様子がうかがえます。

物価高が続く状況では、目先の支出を削るだけでなく、こうした負債と向き合いながら長期的な資産形成をセットで考える視点が求められるでしょう。

毎月の収支といった「目前の動き」だけでなく、資産と負債のバランスという「全体像」を俯瞰することで、より現実的な将来設計に繋げていくことができます。

新年のスタートに合わせて、まずはご自身の世帯の「いまの状態」を客観的に確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

8. 【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

参考資料

吉沢 良子