2026年1月23日、総務省が発表した2025年平均の消費者物価指数は、総合指数で前年比3.2%の上昇となりました。
とくに食料品など生活に欠かせない分野の値上がりは、年金などの定期収入をもとに暮らす世帯ほど影響を受けやすい状況といえます。
こうした物価の動きは、年金額の改定や生活を支える制度を考えるうえで、重要な判断材料のひとつです。同日、厚生労働省からは2026年度(令和8年度)の年金額改定も発表され、国民年金・厚生年金ともに引き上げが決まりました。
ただし、年金額が増えても「実際にどのくらい受け取っている人が多いのか」は別の視点で確認する必要があります。
今回は最新の公表資料をもとに、60歳から90歳以上のシニア世代が受け取る年金の平均額について、分かりやすく解説していきます。
1. 国民年金・厚生年金、2026年度の年金額例「もらえる金額は増えても実質目減り?」
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2つから構成されているため、下の体系図のような「2階建て」構造と呼ばれています。
出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
国民年金制度の加入対象は、原則として国内居住者のうち「20歳以上60歳未満」のすべての人々です。
年金保険料は全国一律で、年度ごとに見直しが実施されます(※1)。40年間保険料を漏れなく納めた人は、65歳以降に満額の老齢基礎年金(※2)を受給できるようになります。
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:《厚生年金》
厚生年金制度に加入するのは、会社員や公務員、さらに特定適用事業所(※3)で働くパートなど、一定の要件をクリアした人で、国民年金と併せて加入する制度となっています。
- 年金保険料(※4):給与水準により決定する(上限あり)
- 老後の受給額:加入した期間や支払った保険料によって個人ごとにばらつきが出る
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
「2階建て構造」で説明される日本の公的年金制度は、1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」となっていますが、加入対象となる人や保険料の決まり方、将来受給できる年金額などに大きな差があります。
1.3 2026年度の年金改定
公的年金は、賃金や物価の動向を踏まえて、年度ごとに年金額が見直される仕組みとなっています。
2026年度(令和8年度)の年金額は前年度から引き上げられ、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円、厚生年金はモデル世帯で月額23万7279円(夫婦2人分)となりました。
ただし、実際に受け取る年金額は、これまでの加入期間や働き方によって一人ひとり異なる点には注意が必要です。
