2月に入り立春を過ぎましたが、2月13日は2026年最初となる年金の振込日でした。通帳記帳を予定されている方も多い中、物価高騰の影響で家計管理に頭を悩ませる季節でもあります。こうした生活を支えるための重要な制度が年金生活者支援給付金です。

この給付金は条件を満たしていても自動で振り込まれることはなく、自ら請求手続きを行わなければ1円も受け取ることができません。

せっかくの受給権利を逃さないよう、本記事では支給要件や対象者の所得基準を初心者の方にもわかりやすくお伝えします。家計の助けとなる貴重な給付金について、この機会にしっかり把握しておきましょう。

1. 【要件】年金とは別に上乗せ支給される「年金生活者支援給付金制度」とは?

「年金生活者支援給付金制度」は、公的年金などの収入が一定基準を下回る人を対象に、年金に上乗せして支給される給付制度です。

支給額は、保険料の納付期間などをもとに算定されるため、受け取れる金額には個人差があります。

1.1 「老齢年金生活者支援給付金」はどんな人が受け取れる?

「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件1/3

「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

老齢年金生活者支援給付金は、次のすべての支給要件を満たす人が対象となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

1.2 「障害年金生活者支援給付金」はどんな人が受け取れる?

障害年金生活者支援給付金は、次のすべての支給要件を満たす人が対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が479万4000円以下(※2

※1 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。

1.3 「遺族年金生活者支援給付金」はどんな人が受け取れる?

遺族年金生活者支援給付金は、次のすべての支給要件を満たす人が対象となります。

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が479万4000円以下(※2

※1 遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。

2. 【2026年3月まで】「年金生活者支援給付金」の給付基準額はいくら?

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円(+140円)
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円(+175円)・2級5450円(+140円)
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円(+140円)

2025年度は、物価上昇などを受けて、給付基準額が前年度から2.7%引き上げられています。

実際の支給額は、この基準額をもとに、保険料の納付期間などを考慮して決定されます。

2.1 【最新データ】「年金生活者支援給付金」の平均給付月額はいくら?

参考までに、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金生活者支援給付金の平均給付月額は以下のとおりです。

  • 老齢年金生活者支援給付金:4146円
  • 障害年金生活者支援給付金:5727円
  • 遺族年金生活者支援給付金:5228円

3. 【老後の収入事情】70歳以上の約4割が「全面的に公的年金に頼る」と回答

厚生労働省の「生活設計と年金に関する世論調査」によると、老後の生活設計について「全面的に公的年金に頼る」と回答した人の割合は、70歳代で43.2%に達しています。

老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ2/3

老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ

出所:厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」

現役時代と比べて収入源が年金に集中しやすく、貯蓄を増やしたり新たな資産運用を行ったりする余地が限られている高齢層の実情を反映した結果といえるでしょう。

その一方で、年金収入だけでは生活水準を維持しにくい現実もあります。

物価上昇や医療費・介護費の増加を考慮すると、将来的に生活費が不足するリスクは決して小さくありません。

生活面の不安を和らげるためにも、年金生活者支援給付金をはじめとした各種公的支援制度を見落とさず、適切に活用していくことが重要です。

4. 【年金生活に備える】老後に必要となる「医療費・介護費」はどれくらい?

限られた収入で生活をやりくりする年金生活では、病気やけが、介護といった想定外の出費に備える意識が欠かせません。

とくに高齢期に入ると医療費は増えやすく、長期間の入院や治療が必要になった場合、家計への負担が大きくなる可能性があります。

そこで、年代別の医療費について確認してみましょう。

厚生労働省の資料によると、70歳代では年間の医療費が60万円を超え、90歳以上では100万円を上回る水準となっています。

予期せぬタイミングの支出となるのが医療費3/3

予期せぬタイミングの支出となるのが医療費

出所:厚生労働省「医療給付実態調査報告」

なお、医療費の負担は高齢者だけに限ったものではありません。

統計を見ると、20歳代でも年間およそ10万円、30歳代では15万円前後の医療費がかかっています。

金額としては比較的少なく感じられるかもしれませんが、突発的なけがや病気によって、想定外の出費が発生するケースは決して珍しくありません。

5. 申請しないと受け取れないお金、対象となるか確認を

年金生活者支援給付金は、老齢・障害・遺族基礎年金を受け取っている方の生活を補完する制度です。

受給には世帯全員が住民税非課税であることや所得制限90万9000円以下といった要件がありますが、世帯状況の変化で新たに該当する場合もあります。

本制度は請求手続きをしないと未支給のままとなるため、対象者向けの案内ハガキが届いていないか今一度確認しましょう。

物価高に備えた自助努力も大切ですが、まずは公的支援を確実に活用することから始めて、安心な老後生活を目指しましょう。

参考資料

横野 会由子