2024年1月に新NISAがスタートし、「これをきっかけに積立投資を始めてみた」という声が増えています。

その一方で、何を購入すべきか決めきれず、最初の一歩を踏み出せない人も少なくありません。

特に多く聞かれるのが、「とりあえずオルカン(全世界株式)かS&P500を買っておけば問題ない」という意見です。

実際、どちらも人気が高く、資産形成の中心として選ばれる代表的なインデックスファンドです。

しかし、本当に“とりあえず買っておけば問題ない”といえるのでしょうか。

本記事では、オルカンとS&P500の基本的な特徴や過去の運用実績をまとめつつ、毎月5万円ずつ10年間積み立てた場合のシミュレーション結果を紹介します。

ご自身の目標やリスク許容度に合った積立投資を考えるうえで、判断材料として活用してください。

1. 「オルカン」と「S&P500」とは?まずは基本を整理

NISAの積立投資でよく候補に挙がるのが、「オルカン」と「S&P500」です。

どちらもインデックスファンドとして高い人気がありますが、投資対象や値動きの特徴は大きく異なります。

なかには「名前は聞いたことがあるものの、違いまではよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。

まずは、それぞれがどのような市場に投資する商品なのか、基本的な特徴から整理していきましょう。

1.1 オルカン(全世界株式)の特徴

「オルカン(オールカントリーの略)」は、全世界の株式に分散投資するファンドを指します。

日本、米国、欧州に加え、新興国も含めた数千銘柄に分散投資されており、1本で世界経済全体の成長を取り込める点が特徴といえます。

最大のメリットは、国際分散が自動的に行われることです。

特定の国や地域の景気に左右されにくく、どこかの市場が不調でも、別の地域が補う構造になっています。

また、世界経済の構造変化に応じて、ファンド内の構成比率が調整されるため、「どの国が今後成長するか」を個人で判断する必要がありません。

このように、オルカンは安定感を重視しながら、長期で着実な成長を狙いたい人に向いた投資対象といえるでしょう。

1.2 S&P500の特徴

S&P500は、米国を代表する約500社で構成される株価指数です。

アップルやマイクロソフト、エヌビディアなど、世界的な影響力を持つ企業が多く含まれており、米国経済の成長をダイレクトに反映する点が特徴です。

過去の運用実績を見ると、S&P500は長期的に高いリターンを上げてきました。

特にIT企業を中心とした成長が株価を押し上げており、「資産を大きく増やしたい」と考える投資家から高い支持を集めています。

一方で注意したいのは、投資先が米国に集中している点です。

米国経済が好調な局面では大きな成果が期待できますが、景気後退や株式市場の調整局面では、資産の変動幅が大きくなる可能性もあります。

成長性の高さと引き換えに、値動きの大きさを受け入れられるかどうかが、選択のポイントになるでしょう。

2. 過去の運用成果を比較すると何が違う?

「オルカン」や「S&P500」をベンチマークとするファンドは複数ありますが、今回は三菱UFJアセットマネジメントが設定している下記2本の運用実績を比較してみましょう。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

2.1 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の運用実績

オルカンの基準価額及び純資産総額の比較1/3

オルカンの基準価額及び純資産総額の比較

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」 を参考にLIMO編集部作成

三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、米国を中心としつつも、欧州・日本・新興国など世界中の株式市場に分散投資しています。

米国株が好調な局面ではS&P500にやや劣るものの、他の地域が下支えとなるため、値動きは比較的緩やかです。

三菱UFJアセットマネジメントが公表している月次レポート(2025年11月28日現在)を見ると、以下のような騰落率になっています。

  • 過去1ヵ月:1.2%
  • 過去3ヵ月:11.9%
  • 過去6ヵ月:24.5%
  • 過去1年:23.0%
  • 過去3年:92.2%
  • 設定来(2018年10月31日~):227.1%

2.2 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用実績

S&P500の基準価額および純資産総額の推移2/3

S&P500の基準価額および純資産総額の推移

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 を参考にLIMO編集部作成

これに対して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、米国を代表する約500社に集中投資するファンドです。

米国企業は成長力が高く、特にIT・ハイテク分野の拡大を背景に、長期的に高いリターンを上げてきました。

こちらも同じく三菱UFJアセットマネジメントが公表している月次レポート(2025年11月28日現在)を見ると、以下のような騰落率になっています。

  • 過去1ヵ月:1.6%
  • 過去3ヵ月:12.0%
  • 過去6ヵ月:26.1%
  • 過去1年:19.2%
  • 過去3年:101.2%
  • 設定来(2018年7月3日~):289.8%

2018年に設定されてからほぼ右肩上がりに上昇しており、騰落率は289.8%にまで達しています。

幅広い国や地域の株式に分散投資するオルカンに比べると、リターンの大きさは米国市場に集中投資するS&P500に軍配が上がります。

とはいえ、米国市場の動向によっては大きく値下がりするリスクもあるため、どちらが良いとは一概には言えません。

強いて言えば、安定性を求めるなら「オルカン」、成長性を重視するなら「S&P500」でしょうか。

組み合わせて積み立てる選択肢も考慮しつつ、リスク許容度に応じて判断するのが望ましいでしょう。

3. 【運用利回り1~10%】10年間・月5万円を積み立てるとどうなる?

「オルカン」と「S&P500」の過去1年の運用実績はどちらも20%前後となっていますが、毎年安定して同等のパフォーマンスを維持できるわけではありません。

投資では必ず価格変動のリスクが伴うため、あくまでも過去の運用実績であることを理解しておきましょう。

ここでは、積立投資のイメージが湧きやすいよう、10年間、毎月5万円を積み立てたケースを利回り別にシミュレーションしてみました。

3.1 【運用利回り1~10%】積立投資シミュレーション

  • 利回り1%の場合:631万円
  • 利回り2%の場合:663万円
  • 利回り3%の場合:697万円
  • 利回り4%の場合:733万円
  • 利回り5%の場合:772万円
  • 利回り6%の場合:812万円
  • 利回り7%の場合:855万円
  • 利回り8%の場合:901万円
  • 利回り9%の場合:949万円
  • 利回り10%の場合:999万円

※うち投資元本600万円
※金融庁「つみたてシミュレーター」を使用
※本シミュレーションは、実際の運用結果を保証するものではありません。

シミュレーション結果を見るとわかるように、運用利回りが高いほど10年後の資産額は大きくなります。

ただし、高い利回りが期待できる投資先ほど、リスクも高くなる点には注意が必要です。

ご自身のリスク許容度に応じて、長期的な投資計画を立てましょう。

4. 自分に合った投資先を選ぼう

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chachamal/istockphoto.com

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ここまで、オルカンとS&P500の基本的な特徴や過去の運用実績や、毎月5万円ずつ10年間積み立てた場合のシミュレーション結果を紹介しました。

オルカンとS&P500は、どちらも長期積立に適した投資対象とされています。

ただし、値動きの特徴やリスクの取り方には違いがあり、「とりあえず」で選ぶ前に理解しておきたいポイントもあります。

一番大切なのは、自分のリスク許容度や投資方針に合った投資先を選ぶことです。

積立投資は長く続けるほど複利効果が働くとともに、ドルコスト平均法により価格変動リスクを抑えることが期待できます。

資産運用を行う際は、家計や保有している資産全体のバランスを考慮することが大切です。

ライフスタイルや家計に合った方法で、資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

参考資料

加藤 聖人