12月15日は公的年金の支給日でした。次の年金支給日は年明け2月13日(金)です。

2025年12月、厚生労働省より「令和6年度末時点」の最新年金データが公表されました。 それによると、老齢年金(国民年金・厚生年金)の平均月額は前回調査から引き続き上昇傾向にあります。

平均額が押し上げられた主な要因としては、以下の3点があげられます。

  • 年金額の3年連続「増額改定」: 物価・賃金の上昇に伴い、公的年金額が引き上げられたこと
  • 現役時代の影響: 新規受給世代の給与水準が以前の世代よりも高く、反映される報酬比例部分が増えていること
  • ライフスタイルの変化: 共働き世帯の増加により、世帯全体や女性の厚生年金受給額が底上げされていること

しかし、受取額が増えた一方で、物価高による生活費への影響も無視できません。本記事では、最新資料を基に現在のシニア世代が実際にいくら年金を受け取っているのか詳しく見ていきます。

1. 【公的年金のしくみ】厚生年金と国民年金は2階建て

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2つから構成されているため、下の体系図のような「2階建て」構造と呼ばれています。

厚生年金と国民年金の仕組み

1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)

国民年金制度の加入対象は、原則として国内居住者のうち「20歳以上60歳未満」のすべての人々です。

年金保険料は全国一律で、年度ごとに見直しが実施されます(※1)。40年間保険料を漏れなく納めた人は、65歳以降に満額の老齢基礎年金(※2)を受給できるようになります。

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:《厚生年金》

厚生年金制度に加入するのは、会社員や公務員、さらに特定適用事業所(※3)で働くパートなど、一定の要件をクリアした人で、国民年金と併せて加入する制度となっています。

  • 年金保険料(※4):給与水準により決定する(上限あり)
  • 老後の受給額:加入した期間や支払った保険料によって個人ごとにばらつきが出る

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

「2階建て構造」で説明される日本の公的年金制度は、1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」となっていますが、加入対象となる人や保険料の決まり方、将来受給できる年金額などに大きな差があります。
 

1.3 2025年度の年金改定

公的年金は、賃金や物価の動向を考慮して年度ベースで年金額を更新する制度となっています。

2025年度の年金額は、昨年度より1.9%のプラス改定です。国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万9308円(1人につき)、厚生年金はモデル世帯(会社員の夫と国民年金のみの妻)で月額23万2784円(夫婦2人の合計)となっています。

もっとも、実際に受給できる年金額は、働いていたときの年金加入履歴によって個人ごとに違いが生じます。