1. 「オルカン」と「S&P500」なにがどう違う?《投資対象の違いをおさえておこう》

オルカンとS&P500は、どちらも特定の株価指数に連動した運用成果を目指す「インデックスファンド」という共通点があります。

しかし、投資する対象が根本的に異なっている点が大きな違いです。

1.1 全世界株式に分散投資する「オルカン」の概要

「オルカン」とは、投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の愛称で知られています。

このファンド1本で、日本をはじめとする先進国や新興国など、世界中の株式約3000銘柄以上に分散して投資することが可能です。

組成上位10カ国・地域(2025年11月28日時点)

以下は、国・地域別の構成比率です。

  1. アメリカ 63.9%
  2. 日本 4.8%
  3. イギリス 3.2%
  4. カナダ 2.9%
  5. フランス 2.3%
  6. 台湾 2.1%
  7. スイス 2.0%
  8. ドイツ 2.0%
  9. ケイマン諸島 1.8%
  10. インド 1.7%

組成上位10銘柄(2025年11月28日時点)

続いて、組み入れられている上位10銘柄を見てみましょう。

  1. NVIDIA CORP アメリカ 情報技術 4.7%
  2. APPLE INC アメリカ 情報技術 4.4%
  3. MICROSOFT CORP アメリカ 情報技術 3.7%
  4. AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス 2.4%
  5. ALPHABET INC-CL A アメリカ コミュニケーション・サービス 2.0%
  6. BROADCOM INC アメリカ 情報技術 1.9%
  7. ALPHABET INC-CL C アメリカ コミュニケーション・サービス 1.7%
  8. META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ コミュニケーション・サービス 1.5%
  9. TESLA INC アメリカ 一般消費財・サービス 1.3%
  10. TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 台湾 情報技術 1.2%

オルカンの主な特徴

  • グローバルな分散投資:特定の国や地域の経済状況に左右されにくい、地理的なリスク分散効果が期待できます。例えば、アメリカの経済が停滞したとしても、他の国や地域(欧州や新興国など)の成長によって影響を緩和できる可能性があります。
  • 自動的なリバランス:投資家自身が各国の経済動向を追って投資先を調整する必要はありません。世界の経済情勢の変化に応じて、運用会社が国や地域ごとの投資比率を自動で見直してくれます。

1.2 米国主要企業に集中投資する「S&P500」の概要

S&P500は、アメリカの代表的な企業500社の株価から算出される、世界で最も有名な株価指数のひとつです。

投資の文脈で「S&P500」と言う場合、多くは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のような、この指数に連動する投資信託を指します。

投資対象は、米国のハイテク、金融、ヘルスケアといった主要産業を牽引する大企業500社です。

資産構成の内訳(2025年11月28日時点)

  • 実質外国株式 100.0%

・内 現物 98.7%
・内 先物 1.3%
・コールローン他 0.0%

組成上位10銘柄(2025年11月28日時点)

以下は、組み入れられている上位10銘柄です。

  • NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.5%
  • APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
  • MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 6.1%
  • AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 3.8%
  • BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 3.2%
  • ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 3.2%
  • ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.5%
  • META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 2.3%
  • TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 2.0%
  • BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B アメリカ 金融サービス 1.6%

S&P500の主な特徴

  • 高い成長性への期待:米国経済は過去数十年にわたり力強い成長を遂げてきました。特に、アップル、マイクロソフト、NVIDIAといった世界的な巨大テック企業が指数に含まれており、これらの企業の成長による恩恵を直接的に享受できる可能性があります。
  • 米国への集中投資:投資先がアメリカ一国に絞られているため、米国経済が好調な局面では高いリターンが期待できます。その一方で、米国経済が長期的に低迷した場合には、その影響を直接受けてしまうリスクも抱えています。