コンビニ株低迷、大手3社は連日の年初来安値更新も

コンビニ各社の株価が低迷しています。4月11日は久々に反発したものの、前日(4月10日)には大手3社が揃って連日の年初来安値更新となる低調ぶりでした。

2018年12月末(終値)と4月11日(終値)を比較すると、最大手のセブン&アイ・ホールディングスが▲18%下落、業界2位のユニー・ファミリーマートホールディングスが▲20%下落、業界3位のローソンが▲14%下落、業界4位のミニストップが▲13%下落となっています。この間、日経平均株価とTOPIXはいずれも+8%上昇しましたので、それだけコンビニ株の不振が際立っていると言えましょう。

このコンビニ各社の株価低迷は、今年10月からの消費増税(現在の8%→10%へ)による景気悪化を織り込んでいるという見解があります。なるほど、“株価はファンダメンタルズ実態から半年先行する”とよく言われます。これが正しいかどうかは議論がありますが、増税による10月からの個人消費低迷を半年前から織り込むとすれば、現在の株価低迷は納得できないわけではありません。

ただ、他の小売株も同様に、あるいは、それ以上に低迷しているはずです。しかしながら、百貨店、専門小売店、家電量販店などでコンビニ株ほどの低調を確認することはできません。

確かに、個別企業で見れば、三越伊勢丹ホールディングス(▲13%下落)やビックカメラ(▲15%下落)のようにコンビニ各社と同等の株価低迷を強いられているものもあります(上記と同じ期間)。

ただ、三越伊勢丹ホールディングス以外の百貨店株は市場平均並みのパフォーマンスであり、ビックカメラ以外の家電量販店株も同様です。つまり、全社が大きく下落したコンビニ株とは決定的な違いがあるのです。こうした点からも、小売株の中においてコンビニ株への売り圧力が圧倒的に大きいのは明白です。

やはり、コンビニ株の低迷には、消費増税の影響のみではなく、コンビニ業界固有の要因があると考えるのが自然でしょう。

セブン&アイHD、ユニー・ファミリーマートHD、ローソンおよびTOPIXの過去3カ月の推移

コンビニ各社の株価低迷の最大要因は「24時間営業見直し問題」

ところで、年初からのコンビニ各社の株価を見ると、3月上旬から急速にパフォーマンスが悪化していることが分かります。特に、最大手のセブン&アイHDでこの傾向が顕著です。

ここでお気付きになった人も多いでしょう。そうです、コンビニ各社の株価低迷の最大要因は、一連の「24時間営業見直し問題」にあると考えられます。

この「24時間営業見直し問題」を簡単に振り返ると、東大阪市のセブン・イレブン(東大阪南上小阪店)が、人手不足のため2月から深夜営業を休止したところ、本部から違約金を請求されたことでオーナー側との意見対立が深刻化したことに端を発します。

その後、コンビニの24時間営業の持続に対する議論が一気に高まり、また、その議論がファミリーマートやローソンなど他のコンビニにも波及しました。この混乱の責任を取る形でセブン・イレブンは社長交代を実施し、経済産業省がコンビニ各社から聞き取り調査を行うなど、ある種の社会問題へと発展しました。

現在、コンビニ各社とも24時間営業の見直し議論を本格化していますが、まだ何も決まっておらず、明確な方向性すら出せないというのが現状です。

さて、この24時間営業見直し問題に関しては、一般消費者と株主を含む投資家では、考え方に大きな違いがあると推測されます。多くの一般消費者は、“別に24時間営業でなくてもいい”、“営業時間短縮やむなし”という考え方なのではないでしょうか。少なくとも、“24時間営業を絶対に維持”と考える人は少数派だと思われます。

しかし、金融市場の投資家(株主含む)は、“24時間営業を絶対に維持”とは主張しないものの、24時間営業を止めることによる業績への影響を強く懸念していると考えられます。

国内コンビニ事業は各社にとって最大の収益源