なぜでしょうか。

その最大の理由は、各社とも国内コンビニ事業が大きな収益源となっているからです。具体的に、先日発表されたセブン&アイ・ホールディングスの2019年2月期決算を見てみましょう。同社の営業利益は約4,116億円となり、過去最高を記録しました。

その内訳は、国内CVSが2,467億円(構成比60%)、海外CVSが923億円(同22%)、金融事業が529億円(同13%)、スーパーストア事業が212億円(同5%)、その他131億円(同3%)、連結調整▲145億円でした。海外コンビニ事業も徐々に伸びているとはいえ、依然として国内コンビニ事業が稼ぎ頭です。

これは、数字に多少の違いはあれども、ユニー・ファミリーマートホールディングスやローソンも全く同じ構造です。

営業時間短縮の影響は簡単には試算できない

では、24時間営業が見直され、営業時間短縮が本格化すると、国内コンビニ事業の収益は悪化するのでしょうか? もちろん、その短縮時間や実施地域にもよりますが、各社とも正確には把握できていないと思われます。だからこそ、各社とも店舗限定の試験的な時間短縮などに踏み切っているのでしょう。

ご存じの通り、現在のコンビニは、ただ単に商品を販売するだけではなく、様々な業務を手掛けています。そのため、たとえば、真夜中の営業時間を休止した場合、その間の人件費を要しない等という、単純な試算が通用しないのです。実際、その場合でも、店舗の運営コストに大きな違いはないと考えられます。そのため、営業時間短縮による売上減少の影響は予想以上に大きくなるという見解があるのも事実です。

コンビニ株の下落は早期の問題解決を促す資本市場からの「催促」

こうした複雑な国内コンビニ事業に関しては、金融市場の投資家も十分理解しているはずです。多くの投資家が最も懸念していることは、“24時間営業の見直しで収益が悪化する”という単純で短絡的なものではなく、この問題による混乱が長期化することではないでしょうか。

3月上旬からの厳しい株価下落は、“収益の柱である国内コンビニ事業が抱える営業時間短縮問題を早く解決し、明確な方向性を示せ”という資本市場からの「催促」と見るのが自然だと思われます。逆に言えば、この問題の解決が長引けば長引くほど、株価回復も遅れるということでしょう。

コンビニ事業だけでなく、コンビニ各社の株価も大きな岐路に立っていると言えそうです。

葛西 裕一