そのとき、目からウロコが落ちたような感覚になりました。周囲の誰と話しても、「『ママとして』できる仕事」の話にしかなりません。しかしここでは、「『あなたの人生として』できる仕事」を一緒に考えていくというのです。

なるほど、自分は「ママ」という役割もあるけれど、他の役割もたくさん持っている。そして子どもが巣立った後も仕事は続けるし、これからは65歳、70歳でも仕事を続ける可能性が高いのです。

そこで正直に「自分の市場価値は低く、手当たり次第受けなければいけないと思っていた」と話しました。

「そう思われる方が多くて、非常にもったいないと感じています。ブランクがあるとはいえ、ママになる以前の経験もありますし、育児も立派な仕事です。育児をする中で身についた能力もあるはずです。それに限られた時間しか仕事ができないママだからこそ、腹を決めて仕事に打ち込んだり、仕事がデキる人も多いものですよ」とのこと。

周囲の幼稚園ママを見ても、テキパキと仕事をこなす人、人前でも堂々と分かりやすく説明をする人、相手のニーズを自然に聞き出せる人など、「この人はデキる」と感じさせられる人は大勢います。それでもいざ仕事となると、「自分はできないから」と口にする人もまた多いのです。

そして自分もできないことばかり考え、自分を低く見ていたこと、安売りしようとしていたことに気付かされました。

育児中の職探しは、将来につながる手立てを考えよう

職業選択に正解はありません。やりたい仕事にこだわる人もいれば、仕事はそこそこにプライベートを大切にしたい人もいるでしょう。育児中の求職は職種が限られますが、やりたい仕事にこだわる場合、「将来につながる仕事」を考えるのも一つです。

育児中に資格を取得する人もいますし、まずはパートで経験を積んでおくこともできます。ウェブでも仕事ができる現代では、在宅で仕事をしたり、フリーランスで仕事をするという選択肢もあるでしょう。

自分は何をしたかったのか、家族を持つ今どういった働き方をしたいのか、そういった漠然とした話をするのにも、マザーズハローワークは良い場所でした。質問され、会話をする中で、自分で自分の本心に気付くことも多くあったのです。

まずは漠然とした不安を抱えた状態で構いません。働くことを考えているのであれば、一度近くのマザーズハローワークを探し、出向いてみてはいかがでしょうか。職員の方は子連れに理解があり、キッズスペースがある場合も多いそうです。

職業紹介のプロと「1人の人間として」会話をする中で、職業選択の幅も広がっていくことでしょう。

宮野 茉莉子