何かと物入りだった年末年始を終え、家計のやりくりに改めて意識が向く時期ではないでしょうか。
シニア世代にとって、年明け最初の大きな関心事となるのが、次回の「2月の年金支給」かもしれませんね。
公的年金の支給日は原則「偶数月の15日」ですが、15日が土日祝日の場合は直前の平日に前倒しされます。そのため2026年の2月は「13日(金)」が支給日です。
この日に、一定の要件を満たす方には年金本体に加えて「年金生活者支援給付金」が上乗せして支払われます。
今回は、2025年度(2026年3月まで)の給付額や対象者の詳細を改めておさらいします。ご自身やご家族が制度を最大限に活用できているか、この機会にぜひチェックしてみましょう。
1. 年金生活者支援給付金《2025年度の給付基準額はいくら?》2026年3月分まで適用
「年金生活者支援給付金」は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない場合に受け取れる給付金です。
老齢年金、障害年金、遺族年金のそれぞれの年金に給付金が設けられており、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。また、給付額は公的年金と同様に、年度ごとに見直しがおこなわれます。
1.1 年金生活者支援給付金「2025年度の給付基準額」はいくら?
2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度より+2.7%引き上げられており、6月支給分の「4・5月分給付金」から増額率が適用されています。
各給付金の2025年度月額は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円(※基準額)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
なお、老齢年金生活者支援給付金については、上記を基準額として、保険料納付済期間などをもとに実際の給付金額が計算されます。
2. 年金生活者支援給付金《老齢・障害・遺族》の支給要件。対象となる人とは?
「老齢」「障害」「遺族」、3種類ある年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が定められています。
一つひとつ整理していきましょう。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給要件に関わっています。
なお、年金生活者支援給付金は、受給要件を満たしても自動では支給されません。受け取るためには、必ず「請求手続き」が必要です。
3. 年金生活者支援給付金《請求書の送付》手続きについての注意点
年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。
請求書の送付時期や書類形式は、年金の受給状況により異なります。今回は該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。
3.1 【パターン1】65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する人
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
3.2 【パターン2】基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる人
- 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
- 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
3.3 年金生活者支援給付金の支給日はいつ?
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に振り込まれます。(通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます)
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。
4. いまどきシニアの年金事情《個人差に注目》
今のシニア世代の年金受給事情についても触れていきます。
厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、60歳以上のすべての受給権者の男女差・個人差に着目してみましょう。
4.1 国民年金の平均月額
7/9
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
4.2 厚生年金の平均月額
8/9
〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金部分を含む
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性の平均が16万9967円であるのに対し、女性の平均は11万1413円と、約6万円の開きがあります。
この格差が生じる背景には、厚生年金の計算方法があります。厚生年金は、現役時代の給与や加入期間が年金額に反映されるため、平均勤続年数が長く、生涯賃金が高かった男性の受給額が大きくなる傾向があるのです。
一方で、国民年金は加入月数に応じて受給額が決まる仕組みのため、男女間の受給額に大きな差はありません。
厚生年金受給額が月額2万円未満から30万円超までと幅が広いことからも、一人ひとりの働き方や加入期間が年金額に大きく影響していることがわかります。
5. 【年金コラム】年金制度改正で「iDeCoのルール」はどう変わる?
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。
今回の改正には、いわゆる「年収106万円の壁」撤廃に向けた社会保険の加入対象の拡大、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金の見直しなど、公的年金制度の大きな改正内容が盛り込まれています。
同時に、私的年金である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「企業型DC」に関しても、いくつか改正が加わることになりました。
5.1 iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
働き方に関係なく「70歳未満」に引き上げる
- 現在のiDeCo加入条件
- 国民年金被保険者
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人
- 加入可能年齢の引き上げ後
- iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする人
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人
5.2 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
企業型DCで、加入者本人が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の上限額を撤廃。事業主掛金の額を超え、拠出限度額の枠を十分に活用できるようにする。
5.3 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
企業年金の運営状況の情報を、厚生労働省がとりまとめて開示。他社との比較・分析が可能となる。
6. まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、「待っていれば自動的に振り込まれる」ものではなく、初めて対象になる場合には請求手続きが必要となる点には注意が必要です。
日本年金機構から届く書類を見落とさないよう、日頃から郵便物の確認を習慣づけておきましょう。
また、年金制度は時代に合わせて刻々と変化しています。 今回の法改正でiDeCoの加入年齢上限が70歳未満に引き上げられるなど、シニア期における資産形成の選択肢はさらに広がりを見せています。
将来の生活をより安定したものにするためには、公的年金を始めとする「もらえるお金」を確実に受け取りつつ、新しい制度の情報を賢く取り入れていく視点もたいせつです。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
マネー編集部社会保障班