12月15日に、2025年最後の年金支給が行われました。次回の支給日である2月13日までは、支給された年金で生活をやりくりしていきます。

年金は、額面から社会保険料などが差し引かれた金額が振り込まれます。年金受給者が納める社会保険料には国民健康保険料や介護保険料がありますが、それぞれいくら差し引かれるのでしょうか。

この記事では、年金月15万円から差し引かれる社会保険料や手取り額について解説します。

1. 「年金月額15万円」の国民健康保険料

年金から差し引かれる国民健康保険料は、自治体によって異なります。自治体ごとに国民健康保険料の算定基準や保険料率が異なるためです。

国民健康保険料は、以下の3つの費用からなるお金です。

  • 医療分:医療給付に充てるもの
  • 後期高齢者支援金分:後期高齢者の支援金に充てるもの
  • 介護分:介護給付に充てるもの(40〜64歳のみ)

そして、それぞれの費用は、以下の4つの項目を組み合わせて構成されます。どの組み合わせになるかは、自治体によって異なります。

  • 【所得割】世帯加入者の所得に応じて計算(所得額×保険料率)
  • 【資産割】世帯加入者の資産に応じて計算(固定資産税額×保険料率)
  • 【均等割】世帯加入者の人数に応じて計算(加入者数×均等割額)
  • 【平等割】1世帯あたり一律の金額で計算

では、実際に年金月額15万円の場合の国民健康保険料を計算していきます。今回は、東京都港区の保険料率をもとに計算してみましょう。

年金月額15万円の場合、保険料を算出するための所得額は以下のようになります。

  • (15万円×12)-110万円(公的年金等控除)-43万円(基礎控除)=27万円

そして、港区は、所得割と均等割を用いて保険料を算定しています。保険料率は以下のとおりです。

  • 医療分:7.71%
  • 後期高齢者支援金分:2.69%
  • 介護分:2.25%

これをもとに計算すると、保険料は以下のようになります。

保険料1/3

保険料

出所:港区「国民健康保険の保険料」をもとに筆者作成

医療分

  • 均等割:4万7300円
  • 所得割:27万円×7.71%=2万817円

支援金分

  • 均等割:1万6800円
  • 所得割:27万円×2.69%=7263円

合計

  • 9万2180円

保険料は年間で9万2180円、月額換算すると7681円です。月あたり1万円が年金から差し引かれます。

次章では、年金から差し引かれる介護保険料について解説します。

2. 「年金月額15万円」の介護保険料

介護保険料も、国民健康保険料と同様に、保険料が自治体ごとで異なります。自治体ごとに介護サービスを必要とする人数や求められるサービス内容が異なるためです。

介護保険料は、所得を一定の幅で区分した「所得段階」に応じて決まります。自治体ごとに定める基準額があり、基準額に一定の倍率を掛けて保険料を決めています。

では、こちらも港区の基準を例に、年金から差し引かれる介護保険料を確かめてみましょう。

「年金月額15万円」の介護保険料2/3

「年金月額15万円」の介護保険料

出所:港区「介護保険の保険料」

年金月額15万円(年180万円)の場合、公的年金等控除が適用され、所得は70万円になります。所得70万円の場合、第6段階の保険料が適用されます。第6段階の保険料は年間8万640円です。よって、月あたり6720円が年金から差し引かれます。

次章では、年金から差し引かれる税金について解説します。

3. 単身で「年金月額15万円」は、住民税課税世帯

年金からは、社会保険料だけでなく税金も差し引かれます。年金から差し引かれる税金は所得税・住民税です。

年金月額15万円の場合、これまでは所得税と住民税の両方がかかりました。しかし、2025年度の基礎控除の引き上げにともない、年金収入205万円までなら所得税がかからなくなりました。よって、月額15万円の年金から差し引かれる税金は、住民税のみとなります。

住民税は、所得に応じて負担額が決まる所得割と、課税者全員が均一に負担する均等割で構成されます。所得割は、所得に対して税率10%を掛けた金額、均等割は国税である森林環境税含めて5000円が徴収されるのが一般的です。年金月額15万円では、住民税非課税世帯にはならないため、注意しましょう。

次章では、住民税の計算も含めた、最終的な手取り額を確かめます。

4. 「年金月額15万円」結局手取りはいくら?

国民健康保険料、介護保険料、住民税を差し引いた手取り年金額はいくらになるのか、計算していきます。

前述のとおり、住民税は所得割が所得金額の10%、均等割が5000円です。住民税を算定するための所得は、国民健康保険料の算定所得額と同様、27万円です。よって、住民税額は以下のとおりです。

  • (27万円×10%)+5000円=3万2000円

年間3万2000円、月額換算すると2666円です。

よって、最終的な手取り額は以下のようになります。

最終的な手取り額3/3

最終的な手取り額

筆者作成

  • 年金収入:180万円
  • 国民健康保険料:9万2180円
  • 介護保険料:8万640円
  • 住民税:3万2000円
  • 手取り額:159万5180円(月額約13万2931円)

手取り年金額は、月額約13万円となりました。約2万円が税金、社会保険料として差し引かれる形です。社会保険料がうち6〜7割ほどを占めており、老後生活においても負担の大きいものとなっているといえます。

※本記事の住民税・所得税の計算では、算出を簡略化するため「社会保険料控除」を適用せずに試算しています。実際には、年金から天引きされた国民健康保険料や介護保険料の全額が所得から控除されるため、実際の税額は本記事の試算より数千円程度低くなり、その分手取り額が増える場合があります。

5. まとめ

年金月額15万円からは、1万円以上の社会保険料が差し引かれます。住民税もあわせると、約2万円が差し引かれ、13万円が手元に残ります。

月13万円で日々の生活費や光熱費支出をやりくりするのは難しいものです。年金以外の備えを用意するなどして、老後生活にゆとりを持つことが重要です。

参考資料

石上 ユウキ