3. 厚生年金の平均受給額は月額14万円台。月額20万円以上を受け取る人の割合は?
社会保険の適用拡大による制度変更とメリットを確認したところで、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金額の現状について見ていきましょう。
厚生労働省年金局が公表した『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均年金月額は、男女合計で14万6429円でした。
この金額には、基礎部分である国民年金(老齢基礎年金)の支給額も含まれています。
受給額別の人数分布からは、以下の実態が読み取れます。
- 月額15万円以上:502万6090人(全体の約47.6%)
- 月額20万円以上:261万7157人(全体の約16.3%)
- 月額25万円以上:27万6814人(全体の約1.7%)
データを見ると、厚生年金を月額15万円以上受け取っている方は全体の半数を下回っています。
さらに、月額20万円以上となると、その割合は約16.3%にまで減少します。
平均受給額が約14万6000円である点を踏まえると、年金だけで生活費のすべてをカバーするのは、多くの人にとって容易ではない現実がうかがえます。
こうした状況から、公的年金制度への理解を深めるとともに、税制優遇制度のiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用や働き方の見直しなど、自助努力による計画的な老後資金の準備がますます重要性を増しています。
4. 無理のない範囲で「将来への準備」を進めていこう
ここまで、「国民年金の第3号被保険者」について制度の概要や、年金制度改正法が成立したことによる今後の影響について解説しました。
社会保険の適用範囲拡大は、第3号被保険者の方々にとって「働き方の選択肢を広げるきっかけ」になるでしょう。
制度を正しく理解し、厚生年金に加入することで得られる年金額の増加や保障の充実といったメリットを把握すれば、ご自身のライフプランに合った備えをより柔軟に検討するのに役立ちます。
老後どれくらい年金を受給できるかは、加入している年金の種類や、年金の加入期間などにより個人差があります。
公的年金の役割を理解した上で、私的年金なども組み合わせ、無理のない範囲で将来への準備を進めていくことが大切です。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「国民年金・厚生年金、平均14万円台「月額20万円」もらう人は何パーセント?」
- 政府広報オンライン「年金の手続。国民年金の第3号被保険者のかたへ。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
マネー編集部年金班
