5. 「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?

「住民税非課税世帯」とは、世帯に属する誰も住民税を支払う必要がない状態を指します。

住民税は「均等割」と「所得割」という2つで構成されており、均等割は一定額を負担し、所得割は収入に応じて税額が決まります。

この2つのいずれにも該当せず、世帯の全員が課税されない場合、その世帯は住民税非課税世帯となります。

非課税となる基準は自治体によって異なるため、次章にて「住民税非課税世帯」の要件について見ていきましょう。

5.1 「住民税非課税世帯」に該当するための3つの要件とは

東京都23区では、「住民税非課税世帯」に該当するかどうかの判断基準として、一定の所得水準が定められています。

  • 生活保護法による生活扶助を受けている方
  • 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
  • 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方

要件の一つである、「前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方」の基準額は、自治体ごとに異なります。

参考として、東京都23区内で用いられている代表的な所得ラインは以下のとおりです。

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

注意すべき点として、「所得」は年収とは異なり、年収から各種控除を差し引いた後の金額を指します。

年収は把握していても、控除後に残る所得額まで正確に把握していないケースは少なくありません。

そこで次章では、東京都港区を例に、どのくらいの年収で住民税非課税世帯に該当し得るのか、その目安を具体的に解説していきます。

5.2 住民税非課税世帯に該当するための「年収目安」はいくら?

東京都港区における住民税非課税世帯の年収基準は、次のように設定されています。

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下

単身で給与収入のみの場合は年収100万円以下、65歳以上で年金収入のみの場合は年収155万円以下であれば、住民税は課税されません。

なお、同一生計の配偶者や扶養家族がいる場合は、非課税となる収入基準が高くなります。

特に、65歳以上で年金収入だけの世帯では、年収211万円以下まで非課税の対象となり、単身ケースより大幅に緩和されていることが確認できます。

このように、非課税の判定は給与か年金かといった収入の種類によって変わるため、自分の世帯の収入状況に合わせて条件を確認することが大切です。