正月休みが明け、本格的に日常が動き出した1月6日。心機一転、家計簿を新調したり、新年の貯蓄目標を立てたりしている方も多いのではないでしょうか。 来月には今年最初の年金支給日も控えていますが、老後資金への不安が尽きない一方で、実は日本国内では「富裕層」の数が過去最多水準にまで増え続けています。なぜ今、資産家が増えているのか。野村総合研究所やJ-FLECの最新データから、普通の会社員からでも一歩踏み出せる「資産形成の分かれ道」を紐解きます。
1. 「富裕層ピラミッドの頂点に君臨する人」超富裕層は約11万世帯
一口に「お金持ち」と言っても、その定義は様々です。野村総合研究所では、世帯が保有する「純金融資産額(預貯金や株などの合計からローンなどの負債を引いた額)」に基づき、世帯を5つの階層に分類しています。
1.1 純資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- マス層(3000万円未満):約4424.7万世帯
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):約576.5万世帯
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):約403.9万世帯
- 富裕層(1億円以上5億円未満):約153.5万世帯
- 超富裕層(5億円以上):約11.8万世帯
この分類では、資産1億円以上を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と定義しています。最新の推計によると、この2つの層を合わせた世帯数は約165.3万世帯。日本の全世帯のうち、およそ33世帯に1世帯(約3%)が富裕層という計算になります。現在、日本で最も多いのは資産3000万円未満の「マス層」で、全体の約8割を占めています。
一見、富裕層とは縁遠い世界に思えますが、実はこのマス層から着実にステップアップし、準富裕層やその上へと駆け上がる世帯が近年目立って増えているのです。
2. 「もしかして、お隣さんは1億円プレーヤー?」日本に増え続ける富裕層
かつての不況下とは一転し、国内の資産家たちの世帯数と資産総額は長期的な増加トレンドにあります。その推移を具体的に見てみましょう。
【時系列】富裕層・超富裕層の世帯数と資産総額の推移
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
リーマン・ショックや震災直後には一時的な落ち込みも見られましたが、ここ10年ほどは凄まじい勢いで拡大しています。特に2021年から2023年にかけての急増は、歴史的な株高や円安の進行が、保有資産の評価額を大きく押し上げたことが主な要因と考えられます。
3. 「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」が新登場!
今回の調査で浮き彫りになったのは、地主や創業者といった伝統的な資産家とは異なる、新しい富裕層の姿です。
3.1 「いつの間にか富裕層」
その代表格が「いつの間にか富裕層」。これは、特別な高年収でなくとも、40代〜50代の会社員が長年のキャリアと並行して投資を継続し、複利の力を味方につけて到達した層を指します。
3.2 「スーパーパワーファミリー」
もう一つが、都市部を中心に増えている、パワーカップルを超える「スーパーパワーファミリー」。世帯年収3000万円を超える共働き世帯で、50代にかけて急速に資産を積み上げるのが特徴です。
こうした層に共通するのは「資産の守り方」ではなく「育て方」にあります。J-FLECの2025年調査では、年収が高くなるほど、資産に占める投資商品の割合が高まる傾向がはっきりと出ています。
4. 「会社員でも到達できる?」意外な共通点とは?年収ごとの金融商品内訳をみる!
2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、2人以上世帯・年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
4.1 種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融資産保有額
- 全国: 1940万円
- 収入はない: 634万円
- 300万円未満: 858万円
- 300~500万円未満: 1431万円
- 500~750万円未満: 1755万円
- 750~1000万円未満: 2222万円
- 1000~1200万円未満: 2725万円
- 1200万円以上: 5635万円
「債券・株式・投資信託の合計額」と「金融資産保有額全体に占める割合」
- 全国: 727万円(37.5%)
- 収入はない: 193万円(30.4%)
- 300万円未満: 306万円(35.7%)
- 300~500万円未満: 456万円(31.9%)
- 500~750万円未満: 612万円(34.9%)
- 750~1000万円未満: 739万円(33.3%)
- 1000~1200万円未満: 955万円(35.0%)
- 1200万円以上: 2817万円(50.0%)
データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは、年収の上昇に比例して着実に増加しており、強い相関関係が見て取れます。
注目すべきは、年収1200万円以上の世帯において、資産の約半分(50.0%)が運用に充てられているという実態です。一方で、年収300万円未満の層でもその割合は35.7%に達しており、資産運用が一部の限られた人だけのものではなく、幅広い層にとって身近な選択肢となっていることが伺えます。
物価上昇への備えが意識される今、新NISAなどの制度を賢く取り入れながら、それぞれの生活に合ったペースで資産を育てていくことは、将来の安心を支える大切な「備え」のひとつと言えるでしょう。無理のない範囲で、自分らしい資産管理の形を見つけていくことが重要です。
5. 「未来の安心へ」1歩ずつ進むマネープランを考える
日本の富裕層の実態を紐解くと、決して特別な存在ではなく、日々の仕事とコツコツとした資産形成を両立させてきた「継続の力」が見えてきます。
現在の資産状況を客観的に把握することは、周りと比べるためではなく、自分たちに合った将来の目標を立てるための大切なプロセスです。
新NISAなどの便利な制度も活用しながら、この新しい一年に「わが家らしい家計の育て方」を少しずつ形にしてみてはいかがでしょうか。