お正月ムードから日常が戻りつつある1月8日。新しい一年の家計管理に身が引き締まる時期ですね。

来月2月13日(金)には、今年最初の「偶数月の楽しみ」である年金支給日も控えています。「自分たちの蓄えで足りるのか」と不安になる一方で、世の中には「富裕層」と呼ばれる人々が増え続けていることをご存じでしょうか。

今回は、野村総合研究所やJ-FLECの最新調査をもとに、日本の富裕層のリアルな実態と、普通の会社員から資産を築くための共通点について詳しく解説します。

1. 「富裕層ピラミッドは5つの階層」日本に富裕層は何世帯いる?

「富裕層」と聞くと、特別な資産家を思い浮かべがちですが、野村総合研究所では世帯の純金融資産額によって、世帯を5つの階層に分類しています。純金融資産とは、預貯金や株式、投資信託、保険などの金融資産から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額です。

1.1 純資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」

 

 

  • マス層(3000万円未満):約4424.7万世帯
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):約576.5万世帯
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):約403.9万世帯
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):約153.5万世帯
  • 超富裕層(5億円以上):約11.8万世帯

この基準では、1億円以上5億円未満が「富裕層」、5億円以上が「超富裕層」とされています。

このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めることが分かりました。

また、純金融資産3000万円未満の「マス層」は、全世帯の約8割を占める日本で最もボリュームの大きい層です。一見するとピラミッドの土台部分に見えますが、近年はこの層からも「いつの間にか富裕層」へのステップアップを果たす世帯が増えています。

この層における日々の節約や運用の工夫こそが、将来のアッパーマス層、準富裕層へとつながる重要なスタートラインと言えるでしょう。

2. 「実は、あなたの家のお隣さんも?」資産は長期的に増加傾向

「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。

【時系列】富裕層・超富裕層の世帯数と資産総額の推移

  • 2005年:86万5000世帯・213兆円
  • 2007年:90万3000世帯・254兆円
  • 2009年:84万5000世帯・195兆円
  • 2011年:81万世帯・188兆円
  • 2013年:100万7000世帯・241兆円
  • 2015年:121万7000世帯・272兆円
  • 2017年:126万7000世帯・299兆円
  • 2019年:132万7000世帯・333兆円
  • 2021年:148万5000世帯・364兆円
  • 2023年:165万3000世帯・469兆円

富裕層・超富裕層の世帯数と資産額は、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で一時的に減少した時期もありました。それでも長い目で見ると増加傾向が続いており、2021年から2023年にかけては特に伸びが目立ちます。背景には、株価の上昇や円安による資産価値の押し上げがあるとされています。

2.1 【一覧表】富裕層の世帯数と純金融資産保有規模(2023年)

  • 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
  • マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円

2023年時点で、富裕層と超富裕層が保有する純金融資産は約469兆円。これは、日本全体の金融資産の約26%が、わずか3%の世帯に集中している計算になります。一方で、準富裕層やアッパーマス層も資産規模を着実に伸ばしており、階層間の動きも活発になっています。

3. 「いつの間にか富裕層」新しく出現した《スーパーパワーファミリー》とは?

今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。

3.1 「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」

今回の調査で注目されたのが、「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人たちです。これは決して「無自覚に資産が増えた」という意味ではなく、40歳代後半から50歳代の会社員を中心に、長年のキャリア形成と並行して、コツコツと継続してきた投資が複利効果で実を結び、気づけば富裕層の域に到達していたケースを指します。一攫千金ではなく、自身の金融知識を武器に「時間を味方につけた」層と言えるでしょう。

もう一つの新しい層が「スーパーパワーファミリー」です。都市部で年収3000万円を超える共働き世帯に代表され、40歳前後から収入と資産が一気に伸びる傾向があります。教育費や住宅ローンを乗り越え、50歳前後で富裕層に達する可能性が高い層とされています。

4. 「年収1200万円以上の人、資産の半分が投資商品?」年収ごとの金融商品内訳をみる!

2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、2人以上世帯・年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。

4.1 種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

2人以上世帯・種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)2/2

2人以上世帯・種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

金融資産保有額

  • 全国: 1940万円
  • 収入はない: 634万円
  • 300万円未満: 858万円
  • 300~500万円未満: 1431万円
  • 500~750万円未満: 1755万円
  • 750~1000万円未満: 2222万円
  • 1000~1200万円未満: 2725万円
  • 1200万円以上: 5635万円

預貯金(運用または将来の備え)

  • 全国: 745万円
  • 収入はない: 385万円
  • 300万円未満: 368万円
  • 300~500万円未満: 631万円
  • 500~750万円未満: 693万円
  • 750~1000万円未満: 908万円
  • 1000~1200万円未満: 1028万円
  • 1200万円以上: 1649万円

債券

  • 全国: 78万円
  • 収入はない: 7万円
  • 300万円未満: 36万円
  • 300~500万円未満: 54万円
  • 500~750万円未満: 58万円
  • 750~1000万円未満: 67万円
  • 1000~1200万円未満: 91万円
  • 1200万円以上: 343万円

株式

  • 全国: 433万円
  • 収入はない: 33万円
  • 300万円未満: 191万円
  • 300~500万円未満: 235万円
  • 500~750万円未満: 365万円
  • 750~1000万円未満: 434万円
  • 1000~1200万円未満: 572万円
  • 1200万円以上: 1792万円

投資信託

  • 全国: 216万円
  • 収入はない: 153万円
  • 300万円未満: 79万円
  • 300~500万円未満: 167万円
  • 500~750万円未満: 189万円
  • 750~1000万円未満: 238万円
  • 1000~1200万円未満: 292万円
  • 1200万円以上: 682万円

「債券・株式・投資信託の合計額」と「金融資産保有額全体に占める割合」

  • 全国: 727万円(37.5%)
  • 収入はない: 193万円(30.4%)
  • 300万円未満: 306万円(35.7%)
  • 300~500万円未満: 456万円(31.9%)
  • 500~750万円未満: 612万円(34.9%)
  • 750~1000万円未満: 739万円(33.3%)
  • 1000~1200万円未満: 955万円(35.0%)
  • 1200万円以上: 2817万円(50.0%)

データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは、年収の上昇に比例して着実に増加しており、強い相関関係が見て取れます。

注目すべきは、金融資産保有額全体に占める投資資産(債券・株式・投信)の割合です。年収1200万円以上の層では約50.0%に達し、資産の半分を運用に回している実態が明らかになりました。一方で、その他の年収層においても概ね30%台を維持しており、特に年収300万円未満の層でも35.7%と比較的高めの水準となっています。

資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、幅広い年収層の世帯においてスタンダードな選択肢として定着している様子がうかがえます。インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、新NISA等の制度も活用しながら自分に合った無理のない投資で資産を育てることが、将来の安心に繋がります。

「1200万円以上」世帯のような運用割合には届かずとも、自身の家計状況とリスク許容度を見極め、着実な運用方法を選んでいくことが重要です。

5. まとめにかえて

今回は、野村総合研究所の最新調査をもとに、日本の富裕層の定義や割合、資産の増え方について解説しました。純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は全世帯の約3%で、資産の4分の1以上を保有しています。

近年は、相続ではなく投資やキャリア形成を通じて資産を築く「新しい富裕層」が増えている点も特徴です。自分の資産状況を世の中全体と比べて知ることは、今後の資産管理や備えを考えるうえで大切な視点になります。まずは家計や資産を整理し、長い目でどの層を目指すのかを考えることが、将来への安心につながる第一歩と言えるでしょう。

参考資料

菅原 美優