この記事の読みどころ
2015年の自動車メーカーの株価パフォーマンスは好不調が鮮明になりました。
新興国市場の回復遅れは大きな誤算で、その影響を受けた銘柄のパフォーマンスが低迷しました。また、円安メリットが大きかったにもかかわらずマツダのみが例外で、ワーストパフォーマーとなりました。
2016年の注目テーマは、新興国市場の回復、自動車部品メーカーの再編の2点です。
自動車株のパフォーマンスは好不調が鮮明に
2015年の自動車株のパフォーマンスは、好調組と不調組が鮮明になったが、全体的には冴えない結果に終わりました。
日産、富士重工などはTOPIXを上回るパフォーマンスを残したが、同じ主力大型株のトヨタ、スズキ、マツダなどは軒並みTOPIXを下回っている。さらに、いすゞやマツダ等は年初来でもマイナスに沈んでいます。
株価パフォーマンスの好不調と業績動向は必ずしもリンクしていません。最高益を更新する見込みの富士重工や日産のパフォーマンスが良かった一方で、同じく過去最高益を更新するトヨタやマツダ等が不振だったからです。
ただ、北米事業の好調な自動車メーカーの株価が評価され、新興国事業の回復遅れの影響を受けた自動車メーカーの株価が評価されなかったという括りにすると、2015年の株価パフォーマンスは概ね説明がつきます。
2015年のワーストパフォーマーとなったマツダは今後も要注意か
唯一の例外がマツダです。マツダも北米事業が好調であり、円安メリットなどで2016年3月期は最高益更新となる見込みです。また、新興国事業のウェイトが低いため、新興国市場の回復遅れによる影響は限定的です。
それにもかかわらず、自動車株で最低の株価パフォーマンスとなった背景には、マツダが強みを持つ欧州市場への懸念が強く燻っていると考えるのが自然でしょう。欧州経済には依然として不透明要素が多いため、2016年のマツダへの投資はタイミングが重要になります。
2016年に注目したい2つのテーマ
2016年の注目テーマとしては、引き続き、1)新興国市場の回復タイミング、2)自動車部品メーカーの再編を挙げたいと思います。
新興国市場の早期回復は難しいが…
新興国市場の回復は大幅に遅れています。しかも、米国の利上げが実施された現在、事態の改善はなかなか見えません。
しかし、市場減速が4年目に突入するASEAN地域は政治的な混乱も収束しており、年後半には底打ち気配が見られると期待したいと思います。ASEAN地域の事業ウェイトが大きい会社には、大きなプラス材料となる可能性が高いでしょう。
自動車部品メーカーの大きな再編は起きるか?
自動車部品メーカーの再編に関しては、トヨタ系が注目です。2016年の自動車業界は、特段大きなイベントが予定されていません。それだけに、様々な改革を行いやすい環境にあると考えられます。
特にトヨタの場合は、過去最高益を更新するなどの業績拡大を背景に、資金需要の発生する改革もやりやすい状況です(上場している系列部品メーカーの再編には、大きな資金需要が発生する)。
2016年に警戒すべき懸念材料3点セット
2016年の懸念材料としては、利上げが実施された米国の新車販売動向があります。先のFRB会見によれば、2016年も複数回の利上げが行われる見通しで、金利が大きな要素となる新車販売への影響が少なからず懸念されます。
仮に米国市場が減速に転じ、新興国市場の回復も難しく、なおかつ、為替が円高に振れる場合、自動車株は総崩れの可能性も考えなくてはならないでしょう。
LIMO編集部