2. 【トピック②】「どの障がいが多く支給された?」新規と再認定の支給件数を確認
「障害年金」は、病気やけがによって障害の状態になり、生活に著しい制限を受ける人々を経済的に支えるために支給されるものです。この「障害の状態」には、視覚や聴覚、肢体などの外部障害だけでなく、がん、糖尿病、心疾患などの内部疾患や、統合失調症などの精神の障害も含まれます。
2025年9月、日本年金機構が「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」を発表しました。この統計から、診断書の種別で見て「どの種類の障がいに支給決定が多く出ているのか」を見ていきましょう。
2.1 《新規裁定》新規で障害年金が決定した件数
新たに障害年金の受給が認められた「新規裁定」は、障害基礎年金と障害厚生年金を合わせて13万848件でした。
- 精神・知的障害:8万7697件(全体の67.0%)
- 外部障害:2万7121件(20.7%)
- 内部障害:1万6030件(12.3%)
特に障害基礎年金では、精神・知的障害が全体の80.6%と非常に高い割合を占めています。
2.2 《再認定》すでに障害年金受給中の人が再び認定を受けた件数
再認定とは、既に障害年金を受けている人が更新手続きを行った結果、引き続き支給が決定された件数です。「再認定」件数は合計で30万6248件です。
- 精神・知的障害:24万2325件(79.1%)
- 外部障害:3万7001件(12.1%)
- 内部障害:2万6922件(8.8%)
内部障害には呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患・肝疾患・糖尿病、血液・造血器疾患などが含まれています。
新規、再認定のどちらにおいても、精神・知的障害の分野で多くの支給決定が行われていることがわかります。障害年金は、障害を持つ人々の生活を経済的に支援する重要な社会保障制度であり、今後も適切な審査と制度の充実が期待されます。
3. 【トピック③】認定プロセスの抜本的な見直し「障害年金これからどう変わる?」
日本年金機構は、障害年金制度の公平性向上を目指し、認定プロセスの抜本的な見直しを進めています。2025年9月19日には、令和6年度の不支給事案約1万1000件を中心とした点検作業の進捗が公表されました。
この改革の対応策として、審査書類の記載の丁寧化、認定プロセスの客観性・公平性の確保、審査体制の再構築の3点が挙げられています。
具体的な変更点として、職員が等級を記載していた内部確認用の「事前確認票」から、等級欄が削除され、客観的事実のみを記載する方式に改訂されました。
また、審査結果をまとめる「認定調書」も変更され、不支給や等級判断の理由を詳細に記載し、透明性を高める方針です。
改正後は、判断理由や参考要素を丁寧に記載し、透明性を高める方針です。
特に、支給決定に至った事案の点検では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づく総合評価の要素が重視されました。これには、病状や予後の見通し、入院歴や薬物治療などの療養状況、そして仕事内容や職場での配慮といった就労状況の詳細な評価が含まれます。
これらの改善策によって、一人ひとりの生活状況をきめ細かく確認し、より正確に年金の判定に反映できるように進められています。





