2. 高齢者の半数以上が「生活苦」を実感するリアルな現状とは

はじめに、現在の高齢者の方々がご自身の暮らし向きをどのように捉えているかを見てみましょう。

厚生労働省が発表した『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯の生活意識は以下のようになっています。

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計すると55.8%に達し、高齢者世帯では「普通」と回答した割合よりも、生活が「苦しい」と感じている人の方が多いという結果が明らかになりました。

3. 70歳代・無職世帯の家計簿:毎月の収支は赤字傾向にあるのか

次に、70歳代以降の生活費が具体的にどのくらいかかっているのかを、総務省統計局の『家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要』から確認します。

3.1 70歳代・無職二人以上世帯の平均支出

  • 70〜74歳:消費支出26万9015円・非消費支出3万4824円
  • 75歳以上:消費支出24万2840円・非消費支出3万558円

3.2 70歳代・無職二人以上世帯の平均実収入

  • 70〜74歳:27万5420円
  • 75歳以上:25万2506円

3.3 70歳代・無職二人以上世帯の平均家計収支

  • 70〜74歳:▲2万8419円
  • 75歳以上:▲2万892円

支出の合計を見ると、70歳代前半で約30万円、後半で約27万円となっています。

しかし、この支出を年金などの収入だけでまかなうことは難しく、実際には毎月2万円以上の赤字が発生していることが分かります。