12月に入り、クリスマスやお正月の準備など家計の支出が増えやすい時期となりました。
寒さが日を追うごとに増しており、暖房費用や防寒にかかる費用も気になるところです。
とくにシニア世帯や所得が限られる世帯にとって、日々の生活費の負担は大きな課題です。
この記事では「住民税が非課税になる基準」や所得の目安、そして「年収106万円の壁」に関わる社会保険制度の変更点など、最新の情報を分かりやすく解説します。
住民税の基本を理解し、非課税世帯の条件について確認しておきましょう。
1. 住民税の仕組みと「非課税」の条件
住民税は、所得にかかわらず一定額が課される「均等割」と、前年の所得に応じて税額が変動する「所得割」の2つの要素で構成されています。
この均等割と所得割の両方が課税されない状態を「住民税非課税」と呼びます。そして、世帯の全員が住民税非課税である場合、その世帯を「住民税非課税世帯」と定義します。
※住民税の「所得割」のみが非課税となる場合もあります。ただし、給付金などの支援対象になるかは自治体の判断によるため、お住まいの市区町村の基準を必ず確認してください。
2. 住民税が非課税になる3つの主なパターン
住民税が非課税となるのは、主に以下の3つのいずれかに当てはまる場合です。
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親のいずれかで、前年の合計所得金額が135万円以下である
- 前年の合計所得金額が、お住まいの市区町村が定める基準額を下回る
1と2の条件は全国で共通ですが、3の所得基準は市区町村ごとに設定されているため、地域によって異なります。
3. 【大阪市の例】住民税非課税世帯と判定される所得・収入の基準
住民税が非課税となる所得の基準は自治体ごとに異なります。ここでは、大阪市のケースを例に見ていきましょう。
3.1 所得要件:非課税となるボーダーライン(大阪市の場合)
前年の合計所得金額に基づく計算式
前年の合計所得金額が、以下の計算式で求められる金額以下の方が対象です。
(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
35万円 + 10万円(給与所得のみの場合、年収100万円以下の方が該当)
大阪市の場合、単身世帯の住民税非課税限度額は「前年の合計所得45万円以下」となります。
この基準額は、同一生計の配偶者や扶養親族が1人増えるごとに上がり、1人の場合は「101万円以下」、2人の場合は「136万円以下」となります。
ただし、ここで言う「所得」とは、収入から各種控除を差し引いた後の金額です。次に、この基準を実際の「収入」に換算した目安を見てみましょう。
3.2 収入ベースでの非課税世帯の目安
単身世帯のケース
前年の合計所得:45万円以下
- 給与収入のみの場合:100万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの場合:105万円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:155万円以下
配偶者または扶養親族が1名いる世帯
前年の合計所得:101万円以下
- 給与収入のみの場合:156万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの場合:171万3334円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:211万円以下
配偶者と扶養親族が計2名いる世帯
前年の合計所得:136万円以下
- 給与収入のみの場合:205万9999円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの場合:218万1円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:246万円以下
非課税となる限度額は、収入の種類や家族構成によって変わります。特に年金収入のみの世帯では、65歳以上になると非課税のラインが大きく引き上げられるのが特徴です。
現役時代に比べて収入が減少する傾向にあることや、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金等控除額が大きくなることなどから、高齢者の年金世帯は「住民税非課税世帯」に該当しやすくなります。
4. 高齢者世帯が住民税非課税になりやすい背景とは
厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、住民税が課税される世帯の割合は、30歳代から50歳代では約90%ですが、60歳代で79.8%、70歳代で61.3%、80歳以上では52.4%と、年齢が上がるにつれて低くなる傾向が見られます。
ただし、住民税非課税の判定は「所得」のみで行われるため、年金収入は少なくても預貯金などの金融資産を保有しているシニア世帯も含まれる点には注意が必要です。
一方で、高齢者の生活実感に目を向けると、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の『家計の金融行動に関する世論調査 2024年』では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日々の生活費をまかなうのも難しい」と回答しています。
さらに、年金だけではゆとりがないと感じる世帯の約6割が物価上昇による支出増を懸念しており、医療費や介護費の自己負担増への不安も大きいことがうかがえます。
5. 2025年からの制度改正「年収106万円の壁」と社会保険の適用拡大
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートやアルバイトで働く人々の働き方に大きく影響する、いわゆる「年収106万円の壁」を撤廃する内容が含まれています。
5.1 「年収106万円の壁」の概要
「106万円の壁」とは、パートタイマーなどの短時間労働者の年収が106万円以上になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自身で保険料を支払う必要が生じる目安のことです。
保険料の負担によって手取り額が減少するため、収入が基準を超えないように労働時間を調整する「働き控え」の一因と指摘されてきました。
社会保険の適用対象となる企業規模は段階的に拡大されており、2024年10月からは従業員数「51人以上」の事業所が対象となっています。
今回の法改正では、「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年かけて企業規模要件を段階的に撤廃」することが決定しました。
5.2 短時間労働者における社会保険の加入要件緩和
2025年7月時点において、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が2か月を超える見込みがあること
- 学生ではないこと
- 所定内賃金が月額8万8000円以上であること(賃金要件)
- 従業員数51人以上の企業に勤務していること(企業規模要件)
今回の改正によって、このうち4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃されることになります。
いわゆる「106万円の壁」は、全国の最低賃金の動向を見ながら3年以内に廃止される予定です。また、社会保険の加入対象となる企業規模の要件は、10年かけて段階的に拡大されます。
6. 住民税非課税の基準を理解し、自身の状況を確認しよう
ここまで「住民税が非課税になる基準」や所得の目安、「年収106万円の壁」に関わる社会保険制度の変更点など、最新の情報を解説しました。
住民税非課税世帯の対象となるのは、「生活保護を受けている」「障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で前年の所得が135万円以下」「前年の所得が市区町村の基準を下回る」のいずれかに該当する場合です。
とくに3つ目の所得基準は自治体ごとに定められています。
所得が大きく減少した方は、お住まいの地域の基準を確認してみてはいかがでしょうか。
また、年金生活を送る高齢者も、住民税非課税世帯に該当するケースは少なくありません。
「想定していたよりも年金額が少ない」と感じる方も、地域の非課税基準所得額を確認してみることをおすすめします。
住民税非課税世帯を対象とした給付金や支援制度は、今後も実施される可能性があります。
公式サイトなどで最新の情報を確認し、利用できる制度を見逃さないようにしましょう。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「【住民税非課税世帯】住民税の基礎知識と非課税の条件とは?シニア世帯は非課税になりやすい?わかりやすく解説」
- 内閣府「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」政策ファイル
- 総務省「個人住民税」
- 大阪市「個人市・府民税・森林環境税が課税されない方」
- 厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
- 厚生労働省「『年収の壁・支援強化パッケージ』に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)」







