師走に入り、2025年も残すところあとわずかとなりました。 年末年始は親族との集まりや旅行などで、いつもより支出が増えやすい時期でもあります。
多くのシニア世帯にとって、老後の生活資金の中心となるのは公的年金と貯蓄ですが、その実態は世代や世帯によって大きく異なります。
特に、これから冬の寒さが厳しくなる中で、医療費の増加や急な出費に備えるため、手持ちの金融資産が十分かどうかの確認は重要度が増します。
本記事では、70歳代の二人以上世帯の貯蓄額の実態と、公的年金の受給状況、そして標準的なシニア夫婦の家計収支を、最新の統計データに基づき徹底分析しました。
データからは、70歳代の貯蓄額の分布に大きなばらつきがあることや、平均的な無職夫婦世帯では毎月3万円超の赤字が生じているという厳しい現実が浮き彫りになります。
これらの事実を踏まえ、現在の自分の家計状況を客観的に把握し、年明けからの資産形成や家計の見直しに向けた一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
1. 70歳代・二人以上世帯、シニアの貯蓄の平均値はどのくらい？
金融経済教育推進機構（J－FLEC）「家計の金融行動に関する世論調査（2024年）」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額（金融資産を保有していない世帯を含む）を確認していきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
70歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は1923万円となっていますが、これは一部の高額貯蓄世帯が全体の平均を押し上げているため、実態より高めに見える可能性があります。
実態に近い中央値で見ると、貯蓄額は800万円にまで下がっており、多くの世帯がこの水準付近に分布していることがうかがえます。
以下に、各世帯の貯蓄額分布の内訳を示します。
- 金融資産非保有：20.8％
- 100万円未満：5.4％
- 100～200万円未満：4.9％
- 200～300万円未満：3.4％
- 300～400万円未満：3.7％
- 400～500万円未満：2.3％
- 500～700万円未満：4.9％
- 700～1000万円未満：6.4％
- 1000～1500万円未満：10.2％
- 1500～2000万円未満：6.6％
- 2000～3000万円未満：8.9％
- 3000万円以上：19.0％
- 無回答：3.5％
最も多いのは、金融資産をまったく持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8％を占めています。
一方、3000万円以上の貯蓄がある世帯も約19.0％とほぼ同程度あり、その差が大きいことがわかります。
このように、70歳代の世帯では貯蓄額に大きなばらつきが見られます。
貯蓄が少ない世帯では、年金だけで生活するのが難しいケースも想定されます。
