本格的な冬を迎え、街のあちらこちらで年末の賑わいを見せる2025年12月となりました。 同時に、来年4月からの新年度に向け、ご自身の老後資金や年金について改めて考え始める方も多いのではないでしょうか。
老後の生活設計を立てる上で、日本の公的年金制度がどのような仕組みになっているのか、そして将来どのくらいの年金を受け取れる見込みなのかを知ることは、非常に重要です。 日本の年金制度は、すべての国民が加入する「国民年金(1階)」と、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金(2階)」の「2階建て」構造が特徴です。
しかし、この制度の仕組みや、実際に受給している年金額にどれほどの個人差があるのか、詳細を把握している方は少ないかもしれません。
本稿では、日本の公的年金制度の基本的な構造から、2025年度の年金額、そして高齢者世帯における収入の実態までを、最新のデータに基づいて詳しく解説します。 ご自身の将来の生活基盤となる年金制度への理解を深め、より確かなライフプランニングの一歩を踏み出しましょう。
1. 日本の公的年金は「2階建て」の仕組み
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類で成り立っており、その構造から下の図のように「2階建て」と呼ばれています。
1.1 1階:全国民が加入する国民年金(基礎年金)
1階部分にあたる国民年金は、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象です。
年金保険料は全国で一律となっており、毎年度見直しが行われます(※1)。保険料を40年間すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます(※2)。
※1 2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。
※2 2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万9308円です。
1.2 2階:会社員などが加入する厚生年金
2階部分の厚生年金は、主に会社員や公務員が加入する制度です。また、特定適用事業所(※3)で働くパートタイマーなど、一定の条件を満たした人も対象となり、国民年金に上乗せする形で加入します。
- 年金保険料(※4):給与や賞与の額に応じて決まります(上限あり)。
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料によって、一人ひとり異なります。
※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上となる企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を掛けて算出されます。
このように、日本の公的年金制度は1階が「国民年金」、2階が「厚生年金」という構造ですが、加入対象者や保険料の決定方法、将来の受給額には大きな違いがあります。
