いよいよ今年も残すところあとわずかとなり、年末年始に向けて慌ただしい時期となりました。この季節は、来年の計画を立てる人も多いのではないでしょうか。
特に、将来の生活を支える公的年金制度については、現役世代だけでなく、受給を控えた方々にとっても関心の高いテーマです。
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金からなる「2階建て」の仕組みが基本となっていますが、加入する制度によって保険料の納付方法や将来受け取れる年金額は大きく異なります。
また、高齢者世帯の約6割が公的年金を主な収入源としている実態や、確定申告の必要性といった、具体的な生活に直結する情報も理解しておかなければなりません。
本記事では、公的年金制度の基本的な構造から、2025年度の最新の受給額、受給者の平均所得と年金の割合、さらには受給者が知っておくべき確定申告のルールまで、網羅的に解説します。
1. 日本の公的年金は「2階建て」の仕組み
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2種類で構成されており、その仕組みはしばしば「2階建て」に例えられます。
1.1 1階:国民年金(基礎年金)の概要
国民年金は、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入対象です。
年金保険料は全国で一律となっており、毎年度見直しが行われます。2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。40年間、保険料をすべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。2025年度の老齢基礎年金(国民年金)は、満額で月額6万9308円です。
1.2 2階:厚生年金の概要
厚生年金は、会社員や公務員など、特定の条件を満たした方が国民年金に加えて加入する制度です。特定適用事業所(※)で働くパートタイマーなども対象に含まれます。
- 年金保険料:給与水準に応じて決まります(上限あり)。
- 老後の受給額:加入期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。
※特定適用事業所とは、1年のうち6カ月以上、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く)の総数が51人以上となる見込みの企業などを指します。厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて計算されます。
このように、日本の公的年金制度は1階部分が「国民年金」、2階部分が「厚生年金」という構造ですが、加入対象者や保険料の決定方法、将来の受給額には大きな違いがあります。
