乳幼児の発達スピードは、個人差が大きいもの。生後10カ月で歩きはじめる子もいれば、1歳半頃になっても歩こうとしない子もいるでしょう。おしゃべりが上手な子もいれば、なかなか二語文が出ない子もいるかもしれませんね。ついほかの子と比べて、不安になってしまうママも多いはず。

今回は、とあるママのエピソードから「焦る必要なんてないんだ」と、少しでも安心していただければと思います。

周囲の子の発達具合を目安にして不安を感じてしまう母親

今回ご紹介するのは「3歳を過ぎても、おむつがなかなかはずれず…うちの子って大丈夫かな?」と不安になっていたAさんのエピソードです。

「トイレの時間が楽しくなるよう、あらゆる手段をネットで調べて試していました。しかしどんなに工夫をしても、息子はトイレに座ることすら拒否。保育園も無理強いはせず息子の気持ちを尊重してくれていたので、なかなかトイトレが進みませんでした。同じクラスの子は、もう布パンツばかり。3歳児検診もあるし幼稚園への転園も間近だし…と、とっても焦っていました」

一向にトイレが成功する気配がなく、焦りばかりが募るAさん。あることがきっかけで、ふと目線を変えた瞬間があったそうです。

「前に一度トレーニングパンツを履いたとき、おもらしをしてしまったのですが…息子は精神面の発達が早かった分、おもらしが恥ずかしいと感じていることに気がつきました。それで、おむつを履けなくなることに、不安を感じているようでした」

声をかけながら子どもの力を信じることの大切さ

そこからは意外な方法で、Aさんの悩みも一気に解決することになったようです。

「まず『1カ月後にはトレーニングパンツに切り替えて、おむつは一切履かない』と目標を決めて息子に伝えました。そこからXデーまで、ひたすら『もらしても大丈夫、誰も笑わないし怒らない』と呪文のように毎日励まし続けたんです。『あなたならできる』と励ましても、失敗するかも…と不安になりやすいタイプなので、『もらしても大丈夫』という言葉に変えました。ひと月後に『今日からお兄ちゃんパンツね』と伝えたところ、なんとその日のうちに自分から『おしっこ!』と教えてくれるように!あっさり1日ではずれたんですよ。夜も自分から『お兄ちゃんパンツで頑張る』と言い出し、おねしょは1度もしていません」

Aさんによると、「ネットに書いてあるトレーニング法ばかりに目が行って、わが子に合ったやり方を考えられていなかったんです。みんなと同じやり方で、同じ過程をたどっていくと思い込みすぎていたのかもしれません」とのことでした。

またAさんは「私の焦りが息子を追いつめていたところもありそうです」とも話してくれました。息子さんを1カ月励ます間、Aさん自身にも「何度おもらしされても大丈夫」という本当の覚悟が生まれたんだとか。それまでは、子どものおしっこの間隔をだいたい把握してトイレに誘うという一般的なやり方で、おもらしをしないことが目標になっていた部分があったそうです。

しかしAさんの意識が変わったことで、子どもが「今は出ない」と言ったら、その言葉を信じて「あら、そう。じゃぁ今は大丈夫だね」と、あっさり引くことができるようになったことも大きかったのでは?と教えてくれました。

子どもの様子に合わせるって意外と難しいもの