5. 保険料の負担を軽くするために知っておきたいこと
高齢期の家計を安定させるには、医療保険料や介護保険料の仕組みを理解しておくことが重要です。
65歳を過ぎると、収入や年金額に応じて負担額が変わるため、制度を正しく把握しておくことで無理のない支払い計画を立てやすくなります。
5.1 介護保険料は「所得段階」で決まる
介護保険料は、所得や年金額に応じて段階的に設定されています。
所得が低い人ほど軽減される仕組みになっており、自治体によっては独自の減免措置を設けている場合もあります。
また、会社の倒産や事業縮小など、雇用者側の都合による離職も減免対象に含まれることがあります。条件に該当するかどうかは、お住まいの自治体で確認しておくとよいでしょう。
5.2 滞納が続くとサービスに影響することも
介護保険料を滞納したままにしておくと、介護サービスを利用する際に影響が出る場合があります。
例えば、
- 自己負担割合が1割から3割に引き上げられる
- いったん全額を立て替えて支払い、後から払い戻しになる
- 保険証に「給付制限」の記載が入る
といった措置が取られることもあります。
支払いが難しい場合は、滞納する前に自治体の窓口へ早めに相談することが大切です。
5.3 今後も保険料は上昇傾向になる見通し
少子高齢化の進行に伴い、介護・医療・年金といった社会保障全体の費用は増え続けています。
以下のグラフは、社会保障給付費(年金・医療・福祉などを含む総額)の推移を示したものです。
社会保障給付費は年々増加しており、そのうち高齢者に関連する給付(年金・高齢者医療・介護など)が全体の約6割(61.1%)を占めています。
今後も高齢化が進むにつれてこの割合はさらに高まる見通しであり、それに伴って保険料負担の増加も避けられないと考えられます。
6. まとめ
65歳を境に、医療保険や介護保険の区分が切り替わり、保険料の算定方法や納付方式が変わります。
所得や地域によって負担額に差が出る仕組みのため、自分の状況に合った金額を把握しておくことが大切です。
また、介護保険料には減免制度があり、支払いが難しい場合は早めの相談が有効です。
今後も高齢化の進行に伴い、保険料の上昇は避けられない見通しです。
制度の仕組みを理解し、無理のない家計設計を意識して備えていきましょう。
参考資料
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 新宿区「令和7年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書 高齢化の社会保障給付費に対する影響」
加藤 聖人
