日経平均株価は一時21,000円を割り込むが、その後は回復

2019年3月29日の日経平均株価の終値は、前日より172円05銭高の21,205円81銭となりました。先週は、前週末に別株式市場が急落したことを受けて、週初25日から650円以上もの大幅な下落となり、25日の終値は20,977円11銭となりました。終値が21,000円を割り込むのは2月15日以来およそ1か月半ぶりです。下げ幅は今年最大でした。

ただし翌26日は期末配当の権利付き最終売買日で、権利取り目的の買いが入ったことなどから前日比で451円あまり高くなり、終値も21,428円と、21,000円台を回復しました。その後は週末まで小幅にもみ合う動きになりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。依然として米株の動向など外的要因に振られる展開が続きそうです。前週、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに慎重な「ハト派」の姿勢を示しました。当面は、利上げによる株価急落のリスクは後退したと見ていいでしょう。

米中貿易交渉については、依然として楽観はできません。ただ、28、29日には閣僚級の協議が北京で開かれ、報道が順調だったという見方が伝わると、米株式市場では投資家心理が改善し、中国市場に関連する企業を中心に幅広く買われました。

29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比211ドル22セント高の25,928ドル68セントで終えています。このまま米中間の通商協議が進展するかどうかはまだわかりません。4月に入ってからもワシントンで閣僚級の会合が予定されています。

日本では3月29日が2018年度の最後の取引日で、日経平均は昨年度末に比べて248円49銭安でした。年度ごとで下落したのは3年ぶりです。米国をはじめ世界で景気の減速懸念が強まっており、日本への影響も心配です。

4月1日には、日銀が3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表します。予想では、大手企業の景況感が悪化すると見られていることから、相場への影響も出そうで注意が必要です。1日には、5月から始まる新年号も発表されます。

25日移動平均線と75日移動平均線の間の狭いレンジで推移

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週まで5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線に下値をサポートされるように上昇していました。しかし、週初25日には窓をあけて下落、ローソク足の実体が5日線、25日線を割り込みました。

さらに、25日には一時20,911円と、直近の安値である3月11日の安値(20,938円)も割り込みました。ここを割り込むと、12月26日の大底から3か月あまり続いた上昇トレンドが崩れてしまいます。ところが実際には、翌26日には窓をあけて上昇し、むしろ3月11日の安値付近で下値を支えられた形になりました。

現状は、これまで同様に3月13日の安値(21,198円)と3月4日の高値(21,860円)の間の狭いレンジの中でもみ合っているような状況です。さらに先週は、75日線と25日線の間の狭い幅の中で推移していました。なかなか方向感が出しにくいところです。本格的な出動は、このレンジをどちらかに抜けてから判断しても遅くないでしょう。

週足や月足などの長い足で見ると、チャートは上昇トレンドの形になっており中長期的には目線は上になります。そういう点では、現状は、12月26日から続く上昇トレンドの一時的な調整と見ることができます。このため、21,000円付近まで押すと買いに回る投資家も多いようです。このあたりは押し目買いの好機と考えていいでしょう。

この場合、上値めどは3月22日の高値(21,713円)、3月4日の高値(21,860円)、さらに目先意識されやすい22,000円あたりになるでしょう。

下原 一晃