4. 【生活保護】「家族に知られたくない…」扶養照会が申請をためらう要因?

生活保護は誰でも申請できますが、日々の暮らしに負担が生じる場合でもなお申請をためらう人がいます。その理由のひとつが「扶養照会」の仕組みです。

扶養照会とは、生活保護を申請した際に、福祉事務所が親族に「申請者の経済的支援ができるか」を問い合わせることです。

親族は扶養を断ってもよいことになっていますが、申請者自身は「家族には迷惑をかけたくない」「生活に困っていることを知られたくない」といった理由で、照会を拒否するケースがあるようです。

ただし、近年では「しばらく連絡を取っていない」「縁を切られている」といったケースでは、扶養照会を例外的に行わなくてもよいことになっています。

福祉事務所や自治体で、扶養照会に関する相談をしてみると、柔軟に対応してもらえる可能性があります。

5. まとめにかえて

生活保護の件数は増加傾向にあり、とくに高齢者世帯は保護世帯数の50%以上を占めている状況です。また、生活保護受給率は全国平均1.62%で、平均より高い都道府県は8つありました。なお、生活保護費には、冬季の暖房費などに充てるための「冬季加算」が地域や期間に応じて支給されるしくみもあります。

生活保護は私たちのセーフティネットとして重要な制度ですが、一方で年金よりも高い保護費や扶養照会のしくみなど、課題もあります。

生活受給率が増える今後の見込みも含め、時代とともにどう制度が変わっていくか、注視していく必要があるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ