11月21日に、高市早苗内閣総理大臣が「強い経済」を実現するための経済対策を発表しました。今回の対策では、危機管理投資や成長投資のほか、私たちの生活と密接にかかわる物価高対策も行われます。
高市内閣の経済対策、とくに物価高対策としては、どういった事業が実施されるのでしょうか。
この記事では、高市内閣の経済対策の概要や、物価高対策について解説します。
1. 高市内閣の「経済対策」概要
高市内閣の経済対策は、一般会計で17兆7000億円、特別会計を含めると21兆3000億円程度を見込んでいます。3つの柱を軸に、物価高対応や企業成長、防衛力の強化などにあたります。
今回の経済対策は、ただ規模だけを大きくしたものではなく「戦略的に財政出動をする」という考え方にもとづきます。高市総理がかねてより言及している「責任ある積極財政」を実現し、国力の強化に挑もうとしているのです。
では、次章から物価高対策として掲げられる政策を見ていきましょう。
2. 経済対策①:子どもへの「2万円給付」
1つ目は、子どもへの2万円給付です。政策の詳細は以下のとおりです。
- 事業名称:物価高対応子育て応援手当(仮)
- 対象者:0歳〜高校3年生までの子どもがいる子育て世帯
- 支給額:1人あたり2万円(一律)
- 実施時期:未定
子ども1人あたりに2万円が支給されるため、子どもの人数が多い世帯ほど、支給額が増えます。たとえば、高校1年生と小学6年生の子どもがいる世帯は、合計4万円が世帯に支給される形です。
特筆すべき点として「所得制限がない」ことが挙げられます。現在、0歳〜高校3年生の子どもがいる世帯には児童手当が支給されています。児童手当は、3歳未満が1万5000円、3歳以降は1万円、第3子は年齢問わず3万円が支給される制度です。
児童手当も、2024年10月に所得制限が撤廃されています。今回行われる予定の給付金の支給条件とほぼ同様の条件となっており、実質的に「一時的な児童手当の拡充」のような形になるのです。
次章では、電気・ガス料金の補助について解説します。
3. 経済対策②:電気・ガス料金の補助
2つ目は、エネルギー関連への補助です。冬季は暖房の利用機会が多くなるため、電気代やガス代が高騰しがち。需要が高まる時期に限定して、補助を行います。詳細は以下のとおりです。
- 事業名称:電気・ガス代支援
- 対象者:全世帯
- 負担軽減額:3ヵ月間で7000円程度
- 1月:4.5円/kWh
- 2月:4.5円/kWh
- 3月:1.5円/kWh
- 実施時期:2026年1〜3月
暖房需要がピークとなるであろう1月・2月は、より手厚い支援になるよう設計されています。3月は補助額が縮小されますが、それでも3ヵ月で7000円ほど光熱費の負担が軽減されます。
こちらはこれまでの電気・ガス代への支援と同様に、電力会社やガス会社が値引きして請求するため、消費者自身が書類を記入して提出する必要はありません。
次章では、食料品の購入支援策について解説します。
4. 経済対策③:食料品の購入支援策
3つ目は、食料品の購入支援策です。「重点支援地方交付金」を拡充することで、食品価格の高騰に対応します。詳細は以下のとおりです。
- 事業名称:重点支援地方交付金の拡充
- 対象者:全国民
- 支援額:1世帯あたり1万円・加算分1人あたり3000円
- 実施時期:未定
具体的な支援の詳細については、各自治体の決定に委ねられています。たとえば、価格が高くなっている米の購入・消費を促進するためにお米券を配布したり、プレミアム商品券や電子クーポンとして自治体での買い物に使ってもらったりといったことが考えられます。
さまざまな支援策が想定されるため、住んでいる自治体のWebサイトや広報紙、SNSなどで情報収集するようにしてください。
次章では、すでに決定している政策や、これから議論を進める政策を解説します。
5. すでに決定した政策・これから議論を進める政策は?
すでに決定した経済政策として「ガソリン暫定税率廃止」があります。ガソリンに課せられる揮発油税には、本則税率のほかに「当分の間税率」(暫定税率)が存在していました。これが12月31日で廃止されることで、ガソリン価格がいくらか下がります。
暫定税率廃止までは、ガソリン小売価格への補助金を引き上げる形で、次第に価格を抑えていくことになっています。
地方在住者や車をよく使う人にとっては、待ち望んだ政策ともいえるでしょう。
一方、これから議論や制度設計を進めるのは、以下のような政策です。
- 給付付き税額控除の制度設計
- 基礎控除の物価に連動した引き上げ
給付付き税額控除は、高市総理が掲げる重要政策です。給付と税控除を組み合わせて幅広い世代に支援をする政策で、早期の制度設計が望まれます。
また、基礎控除の物価に連動した引き上げは、現在も議論が続く「103万円の壁」への対応を指します。所得2500万円以下の人に適用される「基礎控除」は、2025年度から所得に応じて控除がさらに細分化されました。
よって、103万円の壁は最大で160万円まで引き上げられました。今後は物価に連動した更なる引き上げについて議論し、次年度の税制改正で本格的に検討することになっています。
6. まとめ
2025年の経済対策は、さまざまな面から家計を支える内容になりました。子どもへの現金給付や電気・ガス代支援など、中間層でも恩恵のある支援策となっています。
一方で「支援策がかえって物価高を助長する」との意見もあるようです。各政策の効果やその後の検証、そして現在議論中の「給付付き税額控除」や「年収の壁」の議論は、注視していく必要があるでしょう。




