2017年の2月に始まった「プレミアムフライデー」は2019年の3月から3年目を迎えました。しかし、実際のところ、プレミアムフライデーを実施できている企業はそう多くないように思われます。
2周年を過ぎてから初の年度末となった3月29日の状況も含め、実際にプレミアムフライデーがどのように機能しているのか見てみましょう。
そもそもプレミアムフライデーって?
プレミアムフライデーは、2017年に政府と経済界が主導で始めた、個人の消費を促進するためのキャンペーンです。具体的には、「毎月末の金曜日は、午後3時に仕事を終えて、直前に入った給料を元手に、消費活動をしてください」というコンセプトです。
プレミアムフライデーが開始されたのは、2017年2月24日でした。2回目の同年3月31日などは特にそうでしたが「ただでさえ多忙な年度末の時期に、仕事を早く終える」という現実性のなさがさっそく露呈。世間でも、
「早く仕事を切り上げられるはずがない」
「これ考えたやつ『年度末』って言葉を知らんのか?」
「現場の苦労を知らない小役人と大企業の偉い人が考えた馬鹿キャンペーン」
と怒りの声が上がりました。
「そんな時間に帰れるの?」
上記の世間の声にもあったように、そもそもこのキャンペーンは、政府と一部大企業が主導で考えたもので、配達日・時間帯などの信頼性が重要な運輸業や、月末金曜日が一番忙しい時期である金融業など、さまざまな業界の現状を把握できていませんでした。
上記の声のほかにも、
「いつも5時上がりなのを3時上がりにするだけじゃん。って思ったんだろうね。そんな時間に帰れるヒマ人どれだけいるんだ」
「実施日決めるためのデータが『給料日がいつか』しかなかったの?」
といった意見があります。
その結果、プレミアムフライデーを実施した中小企業は2.4%にとどまってしまいました。「最悪の滑り出しをした」といっても過言ではないでしょう。
2周年を迎えた今
プレミアムフライデーは2周年を迎えましたが、現状はどのようになっているのでしょうか。
ネット上では、「すっかり忘れていた」「私には関係ない」など、実際に生活に良い効果が出ているとは思えない声が圧倒的です。また、キャンペーンの中途半端さにあきれて「いっそのこと祝日にしてくれ」という声も上がっています。
そのほか、「若い女性などが少し贅沢をすること」をプレミアムフライデーと呼ぶなど、当初政府が掲げたものとは少し違う意味で捉えられているケースもあるようです。
ゼネラルリサーチの調べによると、プレミアムフライデーの一般認知度は9割を超えているのにも関わらず、「実際に実施された」と答えた人は1割にとどまりました。また、「あまり消費したくない」という人も多く、推進元と一般の人の意識の乖離が顕著に見られます。政府の自己満足に過ぎないのでしょうか。
経済産業省の取り組み
このような中、キャンペーンを主導する側は、さまざまな促進運動を進めています。
レストランや量販店での割引はもちろん、サッカーや相撲などのスポーツ観戦や、地方への旅行など、多岐にわたるジャンルでプレミアムフライデーを実施することで得られる「得」を強調しています。
また、申請した企業に対してプレミアムフライデーのロゴを自由に使えるようにするという宣伝方法も行っています。官民が相互的に宣伝し合うことで規模の拡大を図っています。
プレミアムフライデーのこれから
2周年を迎えたにも関わらず、ニュースで大々的に取り上げられるわけでもなく、「……あぁ、そういう話、あったね」という感じで、もはや「死語」になりつつあるプレミアムフライデー。そんな中、2019年の4月から順次施行される「働き方改革関連法」に期待が集まっています。この法律が浸透し、個人がより休みやすい社会になれば、プレミアムフライデーの「復活」もあり得るかもしれません。
もちろん、プレミアムフライデーも働き方改革も、各企業に任されている部分が非常に大きい話ではあります。個人が休みやすく、消費したくなるような社会は、一企業や一個人の努力ではもちろん実現できません、その点では、政府が積極的に関わってくれることを願うばかりです。
クロスメディア・パブリッシング