3. なぜ、家賃が値上がりしているのか
人口密度の高い東京都心部の家賃が上昇するのは納得の結果と言えるでしょう。
しかし、家賃は全国的に上昇しています。
家賃の上昇は、需要と供給の関係以外に、経済的な要因も絡んでいます。
3.1 建築費・人件費の高騰
新築アパートやマンションの”建築費”が急騰しています。
これらの価格高騰で自宅の購入を躊躇している方もいると思いますが、建築費用においては賃貸物件も同様です。原材料費やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇等で新築・修繕のコストが増えて、家賃に反映されています。
3.2 不動産価格・地価の上昇
投資マネーが不動産市場に流れ込み、都心部を中心に不動産(土地・建物)の取得価格が上昇しているのも家賃上昇の要因の1つです。
借入金利や固定資産税の評価額など、オーナーが物件を購入する際のコストが上がれば、賃貸経営を維持するために家賃が引き上がります。
3.3 借入金利の上昇
日本銀行によるマイナス金利政策の解除により、じわじわと金利が上昇しています。
変動金利型のローンを組んでいた賃貸不動産のオーナーは、金利上昇による月々の返済額が増加するため、家賃を上げざるを得なくなるでしょう。
また固定金利においても上昇しているため、新築やリフォーム費用の新規・追加借入においてこれまでよりも返済負担が増えるため、家賃に反映されると考えられます。
とくに、賃貸オーナーが利用する不動産投資ローンは、一般的な住宅ローンよりも審査基準やリスクが高く設定されているため、金利変動にさらに敏感に反応し、既に上昇傾向にあるケースが多く見られます。
4. まとめ
「賃貸か持家か?」の比較は、それぞれのライフスタイルによって選択基準が異なりますが、急激な家賃の引き上げにより転居や家計の圧迫を余儀なくされるケースが増えています。
こうした時代だからこそ、不動産購入も賃貸の更新も「なんとなく」で進めてはいけません。
お住まいの地域の家賃相場と、もし住宅ローンを組んだ場合の負担額を冷静に比較し、ご自身のライフプランに合った最適な住居費戦略を立てることが、今後の生活設計において最も重要となります。
参考資料
和田 直子