寒さが増し、体調を崩しやすい季節となりましたが、ご自身の「健康」について改めて考える方も多いのではないでしょうか。 2025年11月現在、平均寿命は延び続けている一方で、健康寿命との間に大きなギャップが存在しています。
厚生労働省の最新の発表によると、この平均寿命と健康寿命の差は男性で約8.5年、女性で約11.7年にも及びます。 この長い期間、医療費や介護費といった経済的な負担を抱える可能性は、現役世代にとって無視できない現実です。
働くシニア世代が増える中、年金収入と貯蓄だけで生活を維持できるのか、健康上の不安は尽きません。
本記事では、この「健康ではない期間」に焦点を当て、シニア世代の家計の実態をデータに基づき深掘りします。 70歳代の貯蓄状況や65歳以上の夫婦世帯の収支から、老後資金の現実的な課題を明らかにし、今からできる計画的な備えの重要性について解説します。
1. 健康寿命と平均寿命のギャップ
厚生労働省発表の「令和5年 簡易生命表」によると、2023年時点の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳です。
また、総務省の「2024年（令和6年）労働力調査」（2025年1月公表）によると、全就業者数6781万人のうち「65歳以上の就業者数」は前年に比べて16万人増加の930万人で、働くシニア層は年々増えていることがわかります。
一方で、2022年時点での健康寿命（※）は、男性72.57歳、女性75.45歳です。平均寿命と健康寿命の間には、男女ともに大きなギャップが存在します。男性は約8.5年、女性は約11.7年もの間、健康上の問題で日常生活が制限される可能性があるのです。この期間は、医療費や介護費といった経済的な負担が増加する可能性あります。そのため、現役時代からこの「健康ではない期間」に備えた計画的な準備を考えることが非常に重要になります。
※健康寿命とは：「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。
働くシニア世代を後押しする仕組みは整いつつあります。しかし、医療費や介護費などがかさむ世代でもあるため、健康面での不安を感じることも増えるのではないでしょうか。
