投資の話をすると、「いや、そもそも投資をするお金がないんです」という反応が返ってきます。そういう人には、お金を貯める方法がまず必要だろうと思いますので、それを解説します。世にあふれる貯蓄法の誤解についても指摘します。その上で、お金が貯まらない本当の理由を明らかにします。
投資には先立つものが必要
セミナーなどで投資の話をしていると、比較的多くの方から「いや先生、そもそも私には投資をするお金がないんです。意志が弱くて。どうすればお金が貯まりますか?」という反応が返ってきます。
これは当然の疑問だと思うので、本稿ではまず、お金の貯め方を解説することにしましょう。特別なテクニックは必要ありません。その気になれば、誰にでもできます。意志の強さも必要ありません。
入りを増やすか、出を減らすか
貯蓄=収入−支出ですから、お金を貯めるには、収入を増やすか支出を減らすしかありません。
これを言うと必ず「そんなの当たり前じゃないか」という顔をされるのですが、こういう大原則を最初に押さえるのは、意外と重要ですからバカにしないようにしてください。
経営者であれば収入を増やすことに全力を注ぐべきですが、あなたがサラリーマンなら、副業でもしない限り、残念ながら収入を増やすことは難しいですよね。
必然的に、支出を減らすしか選択肢はなくなります。シンプルですよね。
繰り返しますが、普通のサラリーマンがお金を貯めるには、支出を減らすしか無いんです。
投資と消費と浪費を分けてもお金は貯まらない
世間にあふれる一般的なお金を貯める方法では、「投資と消費と浪費を分けろ」っていうのがありますよね。
家計簿までは付けなくても良いので、まずは3つに分けて、投資は大切だから増やしなさい、消費は生きていく上で必要だから仕方ない、浪費は避けましょうってやつです。
これ、正直言ってムダだと思います。確かに浪費は減るのかもしれませんが、結果としては投資勘定に分類した上での浪費、例えば「自分へのご褒美」を正当化するだけでしょう。
「うん、今日の飲み会は投資と言えるだろう」とか。「お金を貯める」という観点からすれば、お金の使い方に良いも悪いもありません。使えばお金は減るからです。
これは企業を経営していても気を付けなくてはいけないことですが、投資は、投下額が一定期間で回収できる必要があり、そうでないものは投資とは呼べません。
従って、「いつか何かに活きるはず」と本を読んだり資格を取ったりするのは、投資ではなくて娯楽・浪費に過ぎません。
サラリーマンの場合は、残念ながらほとんどのケースで「投資」と収入の増加(出世)に因果関係は認められないと考えられます。
つまり、基本的にサラリーマンの投資は回収できないことから投資とは呼べないわけです。
念のためですが、今は「人生を豊かに生きる方法」の話はしていません。「どうすればお金が貯まるのか」の話をしています。目的を見失わないようにしてくださいね。
お金を貯めるという観点からすれば、投資も浪費も同じだということです。
節約よりも、天引き
次に良くある誤解が、度を超した節約です。
たとえばATMの手数料を絶対払わない、コンビニを使わない、家電の電源をこまめに切る、スーパーのタイムセールを利用するとか。主婦の知恵的な。
私はこれも、あまり意味が無いと思います。
こういうストレスの貯まることをやっていると、どこかでストレスを発散させないといけなくなって、結局はお金を使ってしまいます。小さく節約して、大きく浪費することになります。
もちろん、無理のない範囲で節約できるならした方が良いですが、ストレスが溜まるなら逆効果です。
それよりは、給料から天引き(自動引き去り)で預金などをしてしまった方が良いでしょう。給与口座とは別の、簡単には引き出せないものにしてください。
結局、お金はあればあるだけ使うものです。
自分の給料は20万円ではなく、15万円だと思えば、差額の5万円は貯められます。逆に100万円もらっていたとしても、「残った分を貯めれば良い」と考えていたら貯金は全く増えません。
ちなみに、クレジットカードや電子マネーについては、私は賢く使えば良いと思いますが、もしあなたが「カードがあると無いお金を使ってしまう」というのなら、それらは当分、家に置いておきましょう。
お金が貯まらない本当の理由
いかがでしょうか。簡単ですよね。毎月5万円を天引きにしておけば、1年間で60万円が貯まります。賞与もあるなら、年間100万円も十分可能でしょう。
もうこれで、「投資ができない」なんてこともないですよね。10年で1千万円です。これで会社を興すことができます。
私もそうやって、給料の安い新人の頃から、時間をかけて投資や起業の資金を貯めてきました。
でもこの簡単なことが、ほとんどの人は実行できません。
なぜでしょうか。それは、意志が弱いからではなく、「毎月5万円も使えたはずのお金が減る生活をしたいと思わない」からです。
もっと言うと、敢えてそこまでする差し迫った理由・必然性がないからです。老後の不安も、明確なシミュレーションがなければただの「漠然とした先の話」に過ぎません。
言い換えると、お金を貯める目的が明確ではないからできないんです。あなたが、10年後の1千万円よりも、今月の5万円を選んでいるということです。
こうして考えると、明確な目的がなく、「お金は多くあった方が良いなあ」と考えているなら、貯金をしないのは実は合理的な選択なのかもしれませんね。
それでは、また。フラスコ代表、安田でした。
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制作:株式会社モニクルリサーチ
安田 修