新しい年を迎える1月は、家計や老後資金を見直す絶好のタイミングです。特に退職後の生活設計において、厚生年金の受給額は安心感を左右する重要な要素です。
平均的な年金額はよく話題になりますが、実際には地域差があることをご存じでしょうか。
都道府県別の平均受給額を知ることで、自分の年金額をより現実的にイメージできます。また、厚生年金額は現役時代の収入や加入期間によって決まるため、その仕組みを理解することも欠かせません。
今回は、厚生年金の都道府県別の平均受給額や、厚生年金額の決まり方をみていきます。
1. 【最新データ】厚生年金の全国平均は「初の15万円超え」に
会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たす人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者(※2)の平均年金月額は15万289円でした。
ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介
〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金部分を含む
1.1 厚生年金受給額の個人差
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
このように、厚生年金は幅広い受給額層に分布しています。同時に平均年金月額の「都道府県差」もあるのです。
2. 厚生年金の平均年金月額「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこ?
厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均年金月額が「高い」都道府県【上位5都県】
- 1位 神奈川県:17万457円
- 2位 千葉県:16万5103円
- 3位 東京都:16万3892円
- 4位 奈良県:16万2292円
- 5位 埼玉県:16万1752円
2.2 厚生年金の平均年金月額が「低い」都道府県【上位5県】
- 1位 青森県:12万8129円
- 2位 沖縄県:12万8819円
- 3位 宮崎県:12万9224円
- 4位 秋田県:12万9503円
- 5位 山形県:13万1169円
2.3 都道府県ごとの受給額一覧
- 北海道:14万1069円
- 青森県:12万8129円
- 岩手県:13万2943円
- 宮城県:14万4920円
- 秋田県:12万9503円
- 山形県:13万1169円
- 福島県:13万6880円
- 茨城県:15万2963円
- 栃木県:14万9631円
- 群馬県:14万8666円
- 埼玉県:16万1752円
- 千葉県:16万5103円
- 東京都:16万3892円
- 神奈川県:17万457円
- 新潟県:13万8683円
- 富山県:14万4644円
- 石川県:14万1792円
- 福井県:14万787円
- 山梨県:14万4665円
- 長野県:14万4668円
- 岐阜県:14万9910円
- 静岡県:15万1960円
- 愛知県:16万766円
- 三重県:15万1949円
- 滋賀県:15万4456円
- 京都府:15万1483円
- 大阪府:15万6272円
- 兵庫県:15万9086円
- 奈良県:16万2292円
- 和歌山県:14万5933円
- 鳥取県:13万3459円
- 島根県:13万3918円
- 岡山県:14万6429円
- 広島県:15万745円
- 山口県:14万8166円
- 徳島県:13万4131円
- 香川県:14万4026円
- 愛媛県:14万301円
- 高知県:13万2202円
- 福岡県:14万5822円
- 佐賀県:13万4191円
- 長崎県:13万6825円
- 熊本県:13万2740円
- 大分県:13万6507円
- 宮崎県:12万9224円
- 鹿児島県:13万3343円
- 沖縄県:12万8819円
- その他:13万3788円
都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。
もちろん、厚生年金の受給額は住んでいる場所で決まるわけではありません。この差は、厚生年金受給額がどのように決まるかに理由があります。
3. 【厚生年金】受給額の決まり方
厚生年金の受給額の計算には、現役時代の報酬(給与や賞与)と、年金加入期間が使われるため、個人差が出やすいしくみです。
厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。
- A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間の長さによって決まります。このしくみが、都道府県ごとの平均年金額の差に直結しています。
都市部では賃金水準が高い傾向があり、また、地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。
こうした現役時代の働き方の違いが、年金の平均年金月額の差として表れているのです。
4. 参考:国民年金の平均月額はいくら?【都道府県別】
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、保険料を納付した月数で決まります。そのため、厚生年金に比べて、個人差や男女差、そして地域による格差は大きくありません。
参考として、国民年金(老齢基礎年金)の都道府県別平均年金月額を見てみましょう。
4.1 都道府県別「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
- 北海道:5万8435円
- 青森県:5万7137円
- 岩手県:6万720円
- 宮城県:5万9532円
- 秋田県:5万9147円
- 山形県:6万827円
- 福島県:5万9922円
- 茨城県:5万9395円
- 栃木県:5万9544円
- 群馬県:6万564円
- 埼玉県:5万9007円
- 千葉県:5万9354円
- 東京都:5万8313円
- 神奈川県:5万9342円
- 新潟県:6万1957円
- 富山県:6万2989円
- 石川県:6万1923円
- 福井県:6万2290円
- 山梨県:5万9275円
- 長野県:6万2030円
- 岐阜県:6万1248円
- 静岡県:6万1150円
- 愛知県:6万34円
- 三重県:6万1403円
- 滋賀県:6万1172円
- 京都府:5万8206円
- 大阪府:5万7122円
- 兵庫県:5万9138円
- 奈良県:5万8961円
- 和歌山県:5万7784円
- 鳥取県:6万1502円
- 島根県:6万2287円
- 岡山県:6万1564円
- 広島県:6万991円
- 山口県:6万1120円
- 徳島県:5万8797円
- 香川県:6万1718円
- 愛媛県:5万9792円
- 高知県:5万7926円
- 福岡県:5万8300円
- 佐賀県:6万1084円
- 長崎県:5万8617円
- 熊本県:5万9907円
- 大分県:5万8397円
- 宮崎県:5万9234円
- 鹿児島県:5万9659円
- 沖縄県:5万4217円
- その他:3万785円
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、5万円から6万円台が中心で、全国平均は5万9431円です。
この金額だけで老後の生活費をまかなうのは、現実的に厳しいと感じる人も多いでしょう。
そのため、厚生年金の上乗せがない自営業者やフリーランスの方などは特に、現役時代から計画的な資産形成を始めることが大切です。
5. 高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」はいくら?
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
5.1 高齢者世帯の平均所得金額
(カッコ内は総所得に占める割合)
総所得:314万8000円 (100.0%)
【内訳】
- 稼働所得:79万7000円(25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円 (4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)
高齢者世帯の平均総所得は年314万8000円、月額に換算すると約26万円です。
主な内訳は、所得の3分の2を占める月額約16万6000円の「公的年金」と、約2割を占める月額約5万5000円の「雇用者所得」です。
この所得構成からは、高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。
※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む
6. まとめにかえて
今回は、公的年金制度について詳しく解説しました。年金額に不安を感じる方は、老後に備えた資金準備が欠かせません。近年では、NISAやiDeCoを活用して資産形成を始める人が増えています。
老後資金を準備するうえで重要なのは、自分に合った方法を選ぶことです。しかし、そもそも自分の年金額を把握していない方も少なくありません。
まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を利用して、現状を確認することから始めましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
長井 祐人