寒さが本格化し、年の瀬が迫る12月上旬は、一年を振り返り、来たるべき新しい年に向けた準備を始める時期です。 その準備の一つとして、老後の生活設計の基盤となる年金制度への関心も高まるのではないでしょうか。

特に、近年は物価高騰が続き、家計の負担が増す中、公的年金がどれだけ支給されるのかは、現役世代にとってもシニア層にとっても大きな関心事です。しかし、実際にいくら受け取れるのか、公的年金制度がどのような仕組みになっているのか、そして同じ年金制度でも受給額にどれほどの個人差があるのか、具体的に把握している人は意外と少ないかもしれません。

日本の公的年金制度は「2階建て」の構造をしており、その理解はご自身の老後資金を考える上で必須の知識となります。

本記事では、2025年度の年金額改定の概要から、国民年金と厚生年金の仕組み、そして年齢層別、男女別の平均受給額まで、公的年金に関する基本を網羅的に解説しています。

ご自身の年金額の目安を知り、安心できるセカンドライフのための具体的な資金計画を立てる一歩として、ぜひご一読ください。

1. 年金は前年比+1.9%で増額

公的年金額は物価や賃金の変動を反映して、毎年見直しが行われます。2025年度の年金額は、2024年度から1.9%引き上げられます。

1.1 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額))(※1):6万9308円
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(※2)

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※2 厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

1.2 2025年度の年金はいつからもらえる?

公的年金の支給日は「偶数月の15日(土日の場合は直前の平日に前倒し)」で、前月までの2カ月分がまとめて支給されます。

2025年の年金支給日カレンダーは以下のとおりです。

【一覧表】2025年 年金支給日カレンダー

【一覧表】2025年の年金支給日カレンダー

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」などをもとにLIMO編集部作成