3. 減税の財源確保は「金融所得課税」が候補?
ガソリン減税は、国民にとっては嬉しい政策です。しかし、国としては税収減が懸念となります。今回の暫定税率廃止による財源については、今後議論を進めていく予定です。
財源確保の仕方はさまざまな方法が考えられます。候補のひとつとして「金融所得課税」があがるかもしれません。
金融所得課税とは、投資信託や株式といった金融商品から得た所得へ課す税金のことです。現在、金融商品による所得には所得税・住民税・復興特別所得税あわせて20.315%の税率が課されています。しかし、この仕組みは所得1億円を超えると、実質的な税負担が下がっていく逆転現象が発生するという課題を抱えています。
いわゆる「富裕層」への課税強化として、政府は2025年1月に、30億円を超える高い所得を対象に「ミニマムタックス」の仕組みを適用しています。これは、「(所得金額-3億3000万円)×22.5%」の金額が通常の所得税額を超えた場合、差額を申告納税する仕組みです。
こうした制度を足がかりに金融所得課税を強化する方法は、財源確保手段のひとつです。しかし「金融商品に投資する」というリスクをとっている人々に対して課税すれば、大きな反発は避けられないでしょう。また、徴収対象となる富裕層の定義についても、再考・熟考が必要です。
加えて、片山さつき財務大臣は、減税への財源確保について以下のように言及しています。
今はまさに物価対策で庶民生活が苦しい中でやるわけですから、その分同じように瞬間に負担が増えたらほぼ意味がないので、経済対策として。
減税のための増税は、国民の暮らしを考えると意味のないこと、とまで明言しています。そのため、増税以外の財源確保手段を用いる可能性も十分考えられるでしょう。
次章では、金融所得課税のトピックで気になる「NISA」の扱いについて解説します。