65歳になったタイミングで、介護保険料が急に高くなったと感じる人は少なくありません。

「退職したのに介護保険料が増えた」「地域によって負担額が違うのはなぜ?」といった疑問は、多くのシニアが抱える悩みです。

実は、介護保険料が65歳で大きく変わるのは制度の仕組みによるもの。さらに、住んでいる自治体によって保険料の差が生まれる構造的な理由があります。

本記事では、65歳から保険料が上がりやすい背景と、自治体ごとの違いが生まれる要因をわかりやすく解説します。

1. 65歳で介護保険料が上がりやすい理由

60代後半に入ると、多くの人が「介護保険料が上がった」と感じます。これは単なる偶然ではなく、制度が大きく切り替わる年齢が“65歳”に設定されているためです。

1.1 会社負担がなくなり、自己負担が増えるため

64歳まで会社員として働いている人は、介護保険料の半額を会社が負担しています。

しかし、65歳になると介護保険制度上の区分が 「第2号被保険者(40~64歳)」から「第1号被保険者(65歳以上)」 に切り替わります。

この時点で、会社負担がなくなり全額自己負担になるため、実質的に保険料が高くなったように感じるのです。

特に、退職を控える時期と重なるため、家計負担が増えたと認識しやすくなります。

1.2 保険料の計算方法が大きく切り替わるため

64歳までは、保険料は給与・賞与に対して 「保険料率×報酬額」 で計算されます。

しかし65歳になると、保険料は市区町村が定める基準額(介護保険料の標準額)と所得段階(本人の所得に応じた区分)によって決まる仕組みに変更されます。

報酬額に比例しないため、「退職して収入が減ったのに、介護保険料が上がった」というケースも起こり得ます。

1.3 市区町村ごとに保険料が異なる仕組みだから

65歳以降の介護保険料は、全国一律ではありません。住んでいる市区町村が独自に設定しているため、地域によって年間保険料に大きな差が生じます。

自治体ごとに保険料が異なる背景には、以下のような要因が影響しています。

  • 高齢化率(高齢者が多い地域は保険料が上がりやすい)
  • 介護サービスの利用状況
  • 自治体の財政力(税収や基金の状況)
  • 介護サービス基盤の整備状況

そのため、同じ年齢であっても「住む場所が違うだけで保険料が1万円以上変わる」ということも珍しくありません。