2025年も終盤を迎え、来年以降の家計や老後の生活設計について考える機会が増える時期ではないでしょうか。

特に50歳代は、ご自身の定年が現実味を帯びる中で、「自分の年金はいくらもらえるのか」「現役時代の収入はどう反映されるのか」といった疑問が尽きません。

日本の年金制度は「2階建て」が基本ですが、特に厚生年金は現役時代の働き方によって受給額に大きな差が生まれます。この記事では、年金制度の基本をおさらいし、厚生年金受給者(男性)のリアルな受給額分布をデータで確認します。

さらに、2025年に成立した年金制度改正、特に短時間労働者の社会保険加入を促す「年収106万円の壁」の撤廃が、今後の世帯の働き方や老後の年金額にどう影響するのか、最新情報をお届けします。

年収106万円の壁撤廃は、目前の手取りだけでなく、将来の老後の年金収入にも影響を与える重要な改正です。ご自身の老後だけでなく、パートナーの働き方も含めた「世帯での老後設計」を見直すヒントとして、ぜひご活用ください。

1. 日本の年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て

日本の公的年金制度は、1階部分にあたる「国民年金」と、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、2階建て構造です。

1.1 【国民年金】1階部分

  • 加入対象:原則、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料:全員一律、年度ごとに見直しあり(※1)
  • 年金額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降に満額の基礎年金(※2)を受給できる(未納期間分に応じて減額調整)

※1 国民年金保険料:1万7510円(2025年度の月額)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:6万9308円(2025年度の月額)

1.2 【厚生年金】2階部分

  • 加入対象:主に会社員、公務員など
  • 保険料:収入に応じて(上限あり)決定する報酬比例制
  • 年金額:加入期間や納付保険料により決定(国民年金に上乗せして支給)

国民年金の保険料は「全員一律」ですが、厚生年金の保険料は「報酬比例制」です。そのため、現役時代に「国民年金」または「厚生年金」のどちらに加入していたかで、老後の受給額に大きな差が出ます。

厚生年金の場合、毎月の給与や賞与などの「報酬」に、所定の保険料率を乗じて保険料を決定します。そのため、納付する保険料は人それぞれ異なります。